主要大手企業が若年層を対象とした大規模採用を打ち出している。サムスングループ、現代自動車グループ、SK、LG、ポスコ、ハンファなど7社が今年だけで4万人以上の新規採用計画を公表した。李在明大統領の要請に応えたもので、さらなる企業の採用意欲の広がりが期待されている。
最も規模が大きいサムスングループは年間1万2000人、今後5年間で6万人を新規採用する。最近の年間採用規模は約1万人だったが、毎年20%増となる。未来成長事業育成と若年層の雇用創出に注力する。
半導体を中心とする部品事業、未来成長事業と位置付けられるバイオ産業、中核技術として急浮上した人工知能(AI)分野などを中心に採用者を増やす。
SKグループは今年、8000人を新規採用する。現代自動車グループは今年は7200人、来年1万人規模で採用を拡大する。LGグループは今後3年間で1万人を採用し、うち7000人は新卒を対象とする。ポスコグループは今年の新規採用を従来の2600人から400人増の3000人に拡大する。2026年以降も安全やAI、研究開発(R&D)分野で採用を増やし、今後5年間で1万5000人の雇用を創出する。
ハンファグループは30系列会社の下半期の新規採用を、上半期1400人増の3500人に拡大した。上半期の2100人と合わせ、今年は5600人を採用する。防衛産業分野だけでも年間2500人を採用し、金融系列会社では700人を雇用する。
HD現代も今年、1500人を採用し、29年までの5年間で、造船、建設機械、エネルギー分野など、19系列会社で1万人を新規採用すると発表した。とくに環境保全技術、デジタルスマートソリューション、水素、バイオなど、未来の新成長エンジンのためのR&D人材の確保に注力する。
これらの動きは李大統領の「若者の雇用問題の解決は政府だけでなく、企業の役割も重要だ」と、企業に対して新規採用に積極的に取り組むよう呼び掛けたことに呼応したもの。
企業の動きに対し、李大統領は自身のフェイスブックに「就職を控える若者に大きな希望となるだろう」「今回の決定は経済回復の呼び水になるだろう」「国家的難題の解決に企業が参加してくれたことに感謝する」と記載している。
大統領秘書室の姜勲植室長は「当初計画から採用規模を増やしてくれた企業に李大統領から感謝の手紙を出す予定。さらに採用機会が広がることを願っている」と期待を込めている。
一方で韓国経済の先行きは楽観視できない。6月に日本総研が発表した韓国景気の見通しについて、「内外需ともに先行きの悪材料が散見され、景気の本格回復には時間を要する」としている。
政府系シンクタンクの韓国開発研究院(KDI)が9月に発表した「9月の経済動向」は韓国経済について「消費を中心に景気不振がやや緩和している」と景気は底を打ったとみている。
近年、中途採用が優先される傾向が強かった雇用市場で、大企業の大量新卒採用が景気浮揚につながるのか、注目されている。 |