台湾映画『聴説』(2009年)を韓国でリメイクした『君の声を聴かせて』(チョ・ソンホ監督、24年)が日本で公開される。3人の若手俳優のみずみずしい演技が魅力的で、誰もが経験したことのある恋のときめきと、人生の迷いさえもキラキラと輝くような青春の一ページを描いている。
ストーリーは、大学を卒業してもやりたいことが見つからず、両親が営む弁当屋を手伝う就活生のヨンジュン(ホン・ギョン)、聴覚障がい者で水泳のオリンピック代表を目指すガウル(キム・ミンジュ)、そのガウルを一生懸命に支える姉のヨルム(ノ・ユンソ)。弁当の配達先で出会ったヨルムに一目惚れしたヨンジュンは、大学で習った手話を通じてヨルムと心を通わせるが…。
8月28日に都内で開かれた同映画のジャパンプレミアで、チョ・ソンホ監督は、「オリジナルは素晴らしい映画で、どのように作っていこうかと考えているうちに、ヨンジュンと同年代の頃の自分の姿や感情がよみがえった。その感情を本作に活かしている」と話した。
ノ・ユンソは「手話を学んだ期間は、お互いを知りながら距離を縮めていく時間でもあった。本作を通して手話という財産を得ることが出来た」と語った。
キム・ミンジュは「私自身は水泳が苦手なので、練習を重ねてガウルが夢に向かって進むのと同じ気持ちでがんばった。手話はお互いの目を見てコミュニケーションを重ねるので、目を見つめて演技をする上でも助けになった」とあいさつした。
最後にホン・ギョンは「一目ぼれのトキメキや緊張感を刻みたいと思った。撮影開始の3カ月くらい前から3人で手話を学んだ。手話は全神経を集中させて相手と目を合わせる必要がある。相手の心を理解する、感じるとはどういうことなのか改めて考えさせられた。音が聞こえない環境によって、かえって相手の心を深くのぞき込むことが出来る気がした。楽しみながら作品を鑑賞してほしい」と締めくくった。
健常者と聴覚障がい者のコミュニケーションの壁を、3人は手話を通じた交流で乗りこえていく。聴覚障がい者とその家族が置かれた状況と手話への理解が、この映画を通して深まっていくことを期待したい。
公開=9月26日(金)、東京・TOHOシネマズ日比谷ほか全国順次公開。
公式HP=kimicoe.jp
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