憲法を悪用する反逆勢力
5人の非左派大統領を断罪
今年は韓半島分断80年、大韓民国建国77周年だ。大韓民国はこの80年間、分断によって島国となり海洋勢力に属し、やがて大陸と交流、世界と通商し先進国になった。韓国は韓半島の歴史上、最初の法治国家、最も繁栄した国、国民に自由と希望を与えた国だ。この文明史的偉業を共産全体主義と熱戦と冷戦を戦いながら成就した。建国後、14人が大統領職を務めた。このうち37年間在任し、強力な指導力で国家の基礎を築いた3人の大統領は平壌の共産神政体制から暗殺の標的となった。80年間固着していた分断構造が決定的に変化しようとする今、内外の敵から攻撃され、内戦の中で漂流、国家存亡の危機に瀕している。この内戦は体制戦争、要するに現行10号憲法の欠陥を悪用し、社会を掌握した反文明の全体主義勢力による挑戦から始まった。”民主化勢力”は自由と秩序を破壊する自由まで求めている。
尹錫悦前大統領の非常戒厳令を無理やりに内乱罪と外患罪にする特検と刑事裁判が、被告人の調査と裁判拒否により欠席裁判で行われる。韓国社会の分断と内戦は、政治結社である政党や政治家たちが、主権者である国民に政策を提示し選挙を通じて選択を受ける正常な政権交代・選挙民主主義ではなく、憲法と憲法精神を否定する勢力が、非憲法的に自由民主体制を変えようとする挑戦からくるものだ。
憲法は自由民主体制を宣言するのに、権力は左翼全体主義勢力が掌握している。これはいわゆる「民主化時代」を開いたとする「1987年体制」という、反逆の種が育った結果だ。国家の主人が誰なのか、歴史を作り記録する主体が誰なのかを問うている。
過去38年間、現行憲法のもとで5人の大統領(全斗煥、盧泰愚、李明博、朴槿惠、尹錫悦)が逮捕、弾劾される内戦が続いてきた。驚くべきことに逮捕された5人の大統領はすべて右派か非左派の大統領たちであり、そのうち2人は任期中に群衆の力が動員されて弾劾され、5人全員が刑事裁判に付された。5人の非左派大統領を断罪、刑事裁判に付した者たちはすべて左派大統領だ。
この「内戦」は根が深い。内外で「民主化時代」を開いたと言われる、大統領の任期を5年単任と規定している、大韓民国の現行憲法(87年改憲)の下で進められてきた韓国社会の左傾化の結果だ。東西冷戦終結後の韓国政治の軌跡を見ると、「反共価値」の否定・左傾化は、大韓民国建国を否定してきた反大韓民国勢力も包容すると言った趣旨を掲げた「87年体制」という「韓国版の国共合作」がもたらしたものだ。
李在明が15日「国民任命式」を行う。「ロウソク精神」に立脚した、この奇怪な行事は、それ自体が李在明の焦りを反映する。憲法によって正統に大統領職に就いたのではないことを物語る。李在明は大統領選挙に出馬する資格がなかった。資格審査を経ていない状態で選挙を行ったのだ。大法院の判決で確認されたように、彼は出馬の資格がなかった。それでも出馬できたのは、現行憲法の瑕疵を悪用した反大韓民国勢力によって司法府が掌握されているからだ。李在明は選挙法違反事件で有罪となれば公職選挙に出馬資格がなかった。1審は有罪を宣告したが、2審で左派判事が無罪を宣告した。ところが、大法院が2審の無罪判決を破棄、差し戻した。言い換えれば、大法院が李在明を有罪と判断したのだ。
ところが、2審の裁判部が司法クーデターを起こした。投票日が迫ったという理由で、破棄・差し戻しの裁判を選挙後に先延ばしした。つまり、無資格者を出馬させ、選管委と大法院が結託した大規模な不正選挙クーデターで正当な候補者たちの当選機会を奪った。公正な選挙管理や事後監査は徹底的に無視された。大統領選挙(6月3日)を監視した国際選挙監視団は、選管委が李在明を当選人として宣言したこの選挙が、不正選挙だったという報告書を国際社会に配布した。
自由民主主義の存亡をかけた戦い
不正選挙で大統領を略奪
大統領職をクーデターで盗んだ李在明は、憲法の要件を満たした大統領ではないため今、大韓民国には大統領が存在しない状態だ。李在明が対外的・対内的に大統領権限を行使することはクーデターであり、内乱行為に該当する。1万人以上の国民が選挙無効訴訟のため決起したが、この訴訟を処理すべき大法官と裁判所が機能していない。大法官などの裁判官が各級選管委の委員長であるため、選管委の違法・犯罪を裁判所が扱ってはならない。
李在明と彼を支持した勢力は、「ロウソク精神」が憲法の上にあると強弁する。ポピュリズムを越え、暴民政治だ。李在明の出馬資格を判断するときは裁判を中断させて形式的判決を封鎖、出馬資格があると強弁した李在明一派が、尹錫悦前大統領をはじめ、彼らが敵対勢力に分類した愛国右派には裁判所の判決が下されなくても、内乱犯、内乱首魁、外患犯と決めつけ弾圧している。尹前大統領に対する治療拒否など苛酷な人権蹂躙は、すでに国際社会で問題となっている。
韓国が建国後、最も危険な内乱を経験している今、危機を突破、克服するためには、リーダーシップと国民の合意がなければならない。だが国民が分裂して別の方向に行こうと主張している。李在明一党と支持勢力は当初から政策を中心に考え行動してきた集団ではない。彼らは未来のための拡大再生産などより、社会主義への体制革新や分配を求めてきた集団だ。そして、問題解決の能力や経験のある公務員と専門家を粛清、排除した。新しい人物を探して訓練、準備させねばならない。
外交安保や通商など国際問題は韓国が内戦状態だからと待ってくれない。米露のアラスカ首脳会談(15日)のように韓半島の80年間の分断構造変更の突破口がいつ、どこから開かれるかわからない状況で、李在明一党が国民と国家のために熟考し決断してくれることを期待するのは難しい。李在明一党としては当面の複雑な方程式の解決どころか問題を理解することも期待し難いのが現状だ。
当面、日本や米国との首脳会談があり、中国の戦勝節行事(9月3日)もある。米国と米国の覇権に挑戦する中国が韓半島で衝突しているのが現実だ。米国が同盟を属州のように扱い、過酷な関税を課して国際社会から反発を買っている一方、製造業において圧倒的サプライチェーンを掌握している中国は、米国と反対に様々な国々にビザ免除措置を取るなど影響力拡大に努めている。
トランプ大統領が揺るがした関税戦争で、これまでの国際秩序や慣行、基準などが根本から揺れている。もちろん、トランプ大統領が望む通りの結果が出るのかを含め、変化の連鎖反応がどこにどう波及するかを予測するのは難しい。そのため韓国は新しい観点と覚悟が必要だ。この不確実な激動期にはできるだけ敵を作らないようにしなければならない。EUは米国がNATOから撤退することを前提に対策を立てている。そもそも、西欧がロシアに対する人種的偏見や貪欲などを捨て、ロシアはもちろん、グローバルサウスと共存と協力をする態勢を取れば、ロシアを敵にした再武装・戦争準備は必要なかった。韓国は特に、韓半島の分断構造解体のカギを握っているロシアと敵対してはならない。
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将来を見据えロシアと関係構築
李在明は就任後、北側に対してあらゆる懐柔措置を講じた。対北心理戦の全面中断、北韓住民接触事前届廃止及び北韓放送と漫画を開放方針、さらには北韓個別観光許可など、大韓民国と国民の安全より、金正恩により配慮する姿を見せている。しかし、「金与正談話」を通じて戻ってきた平壌側の反応は、敵対的だ。「韓国に対する彼らの対敵認識には変化があり得ず、朝韓関係の性格を根本的に変えた歴史の時計の秒針は戻せないと宣言。続いて韓国と向き合うことも、論議する問題もないという、公式立場を改めて明確にする。朝韓関係は、同族という概念の時間帯をすでに完全に戻せなくなった」と明言(7月28日)したが、今の国際秩序は一寸先を予測するのも難しい時代だ。韓半島の分断は80年前のヤルタ体制の産物だ。ヤルタ体制という秩序を作った米国とロシアは、今も自分たちが作った分断体制による緊張や葛藤を解消、緩和させる力を持っている。機会は、機会をつかむ者、さらに機会を作る者がその果実を得る。韓国はどのような政権でも金正恩体制の後見人であるロシアとの関係改善に努めなければならない。
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