米国の世論調査機関ピューリサーチセンターが実施した国際調査によると、韓国人が最も大きな安全保障上の脅威と捉えている国は、北韓(40%)と中国(33%)であることが分かった。背景には、過去の経験、現在の軍事的緊張、そして将来への懸念が複合的に絡んでいるとみられる。調査は、25カ国を対象に実施したもので、韓国人にとって、米国(13%)やロシア(1%)は脅威レベルが低い国として認識されていることが明らかになった。
中国を脅威とした国は、韓国の友好国家が大半だった。最も比率の高かった日本(53%)をはじめ、豪州(52%)、米国(42%)と続いた。一方、韓国人回答者の89%は米国を最も重要な同盟国と評価した。これは調査対象国の中でイスラエル(95%)に次いで2番目に高い数字であり、日本(78%)よりも高い。
北韓は「即時的脅威」
中国は「未来の脅威」
北韓は韓国にとって「即時的脅威」だ。核実験やミサイル発射、青瓦台襲撃事件(1968年)、天安艦爆沈や延坪島砲撃(2010年)などの軍事的挑発、さらには近年のサイバー攻撃や情報戦の影響がある。こうした行為が韓国社会に深く刻まれ、北韓を「即時的脅威」と見なす傾向が強い。
一方で、中国に対する警戒心は「未来の脅威」として映っている。THAAD配備への報復措置や韓国文化禁止令、歴史歪曲問題、中華思想に基づく姿勢などが、韓国人の反中感情を刺激してきた。特に20~30代の若年層では反中意識が強く、「自国中心」のスタンスをとる中華主義に対する反発が顕著だ。
中国や北韓に対する韓国人の警戒感はイデオロギー的な感情論ではなく、現実的な体験と状況判断に基づくものと解釈されている。米中対立の構図の中で、韓国は米国との関係を安保戦略の要と捉える傾向が強い。
本世論調査は、25年1月から4月にかけ、米国を含む25カ国の成人2万8033人を対象に実施された。韓国では2月28日から3月29日まで、成人1042人を対象に電話による聞き取り形式で実施した。
(ソウル=李民晧) |