イスラエルが13日、イランを奇襲攻撃した。核施設を含む軍事目標とイラン軍の最高指揮部を一挙に破壊した。イランは崩壊した軍指揮体系を迅速に再建、18時間でイスラエルに対する全面反撃に出た。イスラエルは軍事目標を超え、イラン最大のガス田をはじめ、非軍事インフラなどに攻撃を拡大している。イランは国土が狭いイスラエルにミサイルと無人機で激しく反撃。米国はイランに降伏を促しているが、ほとんどの中東諸国は米国の対イラン軍事作戦に協力を拒否。一方で英国はキプロスの空軍基地を提供するなど深く介入している。イスラエルは防空能力が限界を見せるや各国に緊急支援を要請している。
懸念される韓日 「西欧の武器庫化」
国際法より自国の国内法を外国にまで強要する国がある。その代表が米国だ。ところが大国でもない小国が、自分の行動を何でも正当化する国がある。国際社会に「規則基盤秩序」を強要してきた米国が庇護してきたイスラエルだ。イスラエルは人種的、宗教的な理由で西欧から特別な待遇を受けてきた。イスラエルの暴走は米国や西欧に責任があるともいえる。
建国以来、戦争を通じて領土を拡大してきたイスラエルは、ユダヤ資本が支配するメディアを通じて、彼らに有利なイメージ操作と神話を作ってきた。軍事的に常勝という神話が代表的だ。イスラエルの軍事力を支えるのは米国だ。米国はイスラエルが周辺国より圧倒的軍事的優位を占めるように最先端の武器を供給してきた。核武装も放任・放置してきた。それでイスラエルは国際社会に対する尊重、配慮を知らない。
米国はイスラエルの武器だ。イスラエルの敗北は、米国、米製兵器の敗北を意味する。ところがイスラエルの防空網がイランのミサイル攻撃で無力化しつつある。結局、米国はいつもと同じくイスラエルの戦争に介入、支援するしかない。
イランは米国が軽く対することができない国だ。イスラエルと米国は戦争を早く終えねばならない。イスラエルは高強度の戦争(消耗戦)を長期間続ける国力がない。米国とイスラエルは、イランを攻撃し各種制裁を強化すれば、イラン国内で蜂起が起きレジームチェンジにつながるという計算をした可能性が大きい。
しかし制裁は金持ちの国々に効くものだ。これは米国自身が経験してきたことだ。米国が長期間の総力戦(消耗戦)で勝ったのは、80年前の第2次世界大戦(太平洋戦争)が最後だった。空軍力のないベトコン、アフガンのタリバン、イエメンのフーティにさえ米国は勝てなかった。
米国はNATOなど「自由陣営」の盟主という体面のため無駄な戦争を多く行った。欧州の東西冷戦が終わった後、2000年代に入って米国が中東地域で行った無意味な戦争で消耗、米国の国富は12兆ドルに達したと言われる。今、米連邦の天文学的な公的負債の3分の1程度が無益な戦争のため生じたも同然だ。トランプ大統領もウクライナ戦争の終息を公約として当選したのではないか。
ウクライナ戦争は、米国の致命的な錯覚がもたらした戦略的失策だ。中国を米国の覇権に対する挑戦、脅威とみなす米国とヨーロッパが、中国とロシアが密着、手を握るようにしたのが、NATOがロシアを圧迫・挑発して起こったウクライナ戦争だからだ。
米・英はわずか3年半前のこの教訓を忘れた。イランを攻撃することは、本質を見れば中国を攻撃することだ。中国としてはイランは一帯一路の重要拠点で、石油エネルギーを供給してくれる存在だ。中国は当然、ロシアとの関係をもっと固くするしかない。
世界を相手に関税戦争・貿易戦争をしているトランプ大統領は、米国を再建するだけでも任期が足りない。イランを屈服させるための戦争などをやる余裕もなく、理由もない。米国がイランを攻撃するとしても、イランを占領するのは不可能で、結局、勝てず、手を抜いたここ20年間の前轍を踏むことになる。
問題は韓国と日本だ。米国の圧倒的影響力の下にある韓国と日本は、ウクライナ戦争の最大被害者だ。世界はイデオロギーの時代ではなく、一極時代から多極時代に変わっているのに、NATOEUが始めた戦争で対ロシア制裁に無理やり参加しロシア市場を中国に渡した。
中国は米国・イスラエルとイラン戦争が長期間持続しても悪くない。イランは当然、苦しむことになるが、イスラエル側に立った国々(米国、EUなど)も国力が消耗し疲弊するしかない。米国の衰退を加速させる。韓国と日本が西欧の武器庫になるのは愚かなことだ。国も重要だが、国民と人間の生がより重要だ。
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