中国政府がソウル・梨泰院で購入した土地が、買収時の更地状態で現在も放置されており、その背景に関心が集まっている。梨泰院はかねてより、土地の所有者が外国人であることが多い地域だが、中国のように外国政府が直接購入したケースは珍しい。
問題の土地は、梨泰院洞にある11筆、総面積4162平方メートル(約1256坪)。かつてはゴルフ練習場として使用されていたが、2018年12月に中国政府が約300億ウォンで買収した。大統領室や公邸から直線距離で1・5キロ、駐韓米国大使館の新庁舎建設予定地からは1キロ圏内に近接している。購入から7年が経過しても更地のまま放置されているのは不自然だ。
そもそも、このような一等地が外国政府に売却された経緯自体が不可解だ。購入時期は文在寅政権2年目であり、当時の政府は親中姿勢を打ち出していた。加えて、当該土地の一部は韓国の国有地だった。
現在の韓国には、外国政府による土地の購入に対して規制が存在していない。一方で、米国では外国政府が軍事施設周辺で不動産を取得することを厳しく制限しており、フロリダ州やテキサス州を含む35の州政府は中国を「敵対国」と位置づけ、中国人による不動産取得を制限する法律が定められているか、関連法の制定が進められているか、そのいずれかだ。
韓国における外国人の不動産取得のうち、中国人の割合は65%に達している。昨年末時点で国内の不動産を所有する外国人は1万7478人、そのうち中国人は1万1346人にのぼる。中国人が所有する土地の総面積は、ソウル市全体の約3%に相当する20・66平方キロメートル(22年時点)に及ぶ。
(ソウル=李民晧) |