大統領選挙の投票を2週間後に控えた現在、金文洙候補が李在明候補の支持率を逆転するかどうかに内外の関心が集中している。金文洙候補側としては反李在明連帯を実現すれば勝利を期待できる。丘ジュワ候補(自由統一党)は19日、金文洙支持を宣言し辞退。金文洙候補は、李俊錫(改革新党)候補との連帯、包容の可否が重要になった。内乱罪で毎週裁判を受けている尹錫悦前大統領は17日、金文洙候補の当選に役立つことを願うと言い「国民の力」を離党したが、同党は投票にまで戦列を整備できないものと見られる。このような状況で改憲問題が選挙争点として浮上。改憲問題が大統領選挙後、政界再編に向けた合従連衡など政局に絶対的な影響を及ぼすことになる。
候補間の初のテレビ討論会(18日)では、選挙公約などを準備する時間が足りない事情もあり、真剣な政策競争よりは神経戦が中心となった。金文洙と李俊錫候補が李在明に対して挟み撃ちに出る構図が明確に現れ、李在明候補は争点を糊塗し、ポピュリズムと的外れな答えの対応で人性を疑わせる行動で終始した。
李在明党は、国会の立法暴走と李在明に不利な裁判をした池貴然判事などを攻撃する流言蜚語レベルの謀略攻勢を躊躇していない。大法院長や大法官に対する聴聞会を強行(14日)、大法院長特検法を推進する李在明党は、李在明に対する暗殺脅威を強調、韓国選挙史上初めて遊説のとき防弾ガラスまで動員している。
現在の選挙戦は、反李在明連帯の構成とその阻止をめぐる政治工作、合従連衡が熾烈に展開されている。特に、投票前に世論調査結果が最後に公開され、投票用紙が印刷に入る25日まで、李俊錫側が金文洙候補と連帯するかどうかが勝負を決めるだろうと内外の関心が集まっている。
非常戒厳令と内乱の是非の中心にある尹錫悦前大統領が、自分による「国民の力」内の葛藤を減らすため離党を宣言(17日)し、自分の支持者たちに金文洙候補支持を求めた。しかし、「国民の力」は警察など見えない勢力によって党の力を発揮できず混乱、政党として機能を喪失した状態だ。金文洙候補は、伝統的な選挙運動ではなく、SNSなどニューメディアを活用して自分の斬新なイメージを最大化する方法で選挙運動をするしかない。
こうした中、金文洙・李在明の両候補が改憲とその方向について言及、大統領選挙の争点として浮上した。金文洙候補は、改憲に関する政治社会的関心と期待を勘案して「大統領重任制改憲」を提起した。
深刻なのは李在明側が提案(18日)した改憲案だ。李在明候補は、大統領「4年連任制」をはじめ、国務総理の国会推薦制、監査院の国会移管などを主張した。彼の過激な路線とこうした改憲案がもたらすはずの国政の混乱に対し、政界の内外からいろんな指摘と懸念が噴出している。
李在明側は、国務総理を国会が推薦し、大統領は拒否できず、大統領の拒否権も制限、廃止を主張している。表向きには権力を分散するというが、実際には3権分立、特に、行政府の国会牽制装置を無力化し、立法権力を議会多数党中心に集中させる、事実上の議員内閣制だ。
特に、国会独裁・立法暴走で国民の信頼を失い、国会解散が主張されている状況で、このような国会に国務総理人事権と監査院まで国会所属にするという改憲は、状況によっては完全な”全体主義独裁体制を憲法が保障する”ことになる。
辛奉起慶北大法学専門大学院教授は、李在明の改憲案の中で最も深刻なのは大統領任期の「4年連任制」公約と指摘した。要するに、4年ずつ連任した後、退任してからまた出馬が可能だからだ。
さらに多くの政治家が全羅道票を意識して改憲時に憲法に「5・18精神」を入れると言うが、そうなれば改憲が国民間の葛藤を爆発させるだろう。 |