3月の最終週は「司法スーパーウイーク」だ。尹錫悦大統領の弾劾裁判や李在明・共に民主党代表の公職選挙法違反2審、韓悳洙・国務総理の弾劾裁判の判決が相次いで下されるからだ。どのような判決が出ても現在の対立が解消されることはなく、さらなる混乱に陥ることは必至だろう。
(李民晧)
野党のもくろみ外れる
最近まで、韓悳洙・国務総理の判決より先に、尹錫悦大統領の弾劾裁判の結審を迎えるという見通しが優勢だった。
「共に民主党」陣営は尹大統領の弾劾裁判について「8対0で可決されるに違いない」と主張してきたが、憲法裁判所が韓悳洙・国務総理の判決を先に(24日)変更したため、野党の目算は無駄に終わった。
今後の予定としては、26日に李在明代表の2審判決が下され、尹大統領の判決は早ければ28日に行われる。
李代表は1審裁判で、公職選挙法違反の容疑で懲役1年、執行猶予2年の判決を受けた。1審判決どおりに結審した場合、被選挙権が10年間剥奪されることになる。
また、2審で罰金100万ウォン以上の判決を受けた場合は被選挙権が剥奪されるが、最終審に上告する権利は残されている。その場合、2審判決から90日以内に申し出なければならない。
もし尹大統領が罷免に至れば、大統領選挙はその日を起点として60日以内に行われることになり、李代表が大統領に当選した場合は本人の裁判を中断させることができる。
しかし、2審で李代表の有罪が確定すれば、共に民主党は「犯罪者を大統領候補に立てた」として批判されることは必至であり、李代表は窮地に立たされることになる。
このため、党内では他の候補を擁立すべきだとの声も上がっているが、李在明支持派がそれを阻止している状況。共に民主党では、李代表の有罪が確定した場合、むしろ結束を強めようという雰囲気だ。
韓総理の弾劾棄却の見立て
24日、韓悳洙・国務総理の弾劾裁判が棄却された。韓総理は従来の職務に復帰する形となる。この判決をめぐっては正反対の解釈がなされている。
まずは、尹政権のナンバー2の弾劾が却下されたのだから当然、大統領本人も却下されるだろうという希望的な観測だ。歴代の大統領弾劾裁判の中で最も審理が長期間に及んでいる点も、憲法裁判官の意見が統一していないと解釈される要因となっており、棄却を期待する人々の希望となっている。
一方で、韓総理の判決日が尹大統領よりも前倒しされたことに対しては、尹大統領の弾劾が可決されるサインだと見る向きもある。
行政府の最高責任者である大統領不在の状態が続いているため、政権のナンバー2である国務総理を復帰させて混乱を抑えることが目的だと解釈する人もいる。
だが、結果がどうであれ、韓国の政局は内戦状態が続く可能性が高い。判決に対し、双方ともに納得せず反発するのは必至だからだ。国民のデモも拡大しており、判決後にはさらに激化すると見られている。
 | | 分裂する韓国社会。22日、ソウルで開かれた弾劾賛成集会(写真上方)と弾劾反対集会(写真下方)
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