韓国政府は5日、大統領代行の崔相穆副首相兼企画財政部長官主宰で産業競争力関係閣僚会議を開き、政府系の韓国産業銀行に5年間で最大50兆ウォン(約5兆1000億円)の先端戦略産業基金を新設することを決めた。同基金を基に、都市銀行などと協力し計100兆ウォン以上を集中支援する。米国のトランプ政権発足による対外不確実性が高まるなか、主要国に対抗するため先端戦略産業の競争力強化を図る。
支援対象は、先端戦略産業と国家戦略技術を保有する大企業、中堅・中小企業。対象となる産業は半導体、2次電池、ディスプレー、バイオ、防衛産業、ロボット、ワクチン、水素、次世代自動車、AI(人工知能)など。
基金は3年間17兆ウォン規模で運営中の半導体低金利支援プログラムに、2次電池やバイオなどに投資予定の資金34兆ウォンを加えて設定する。
政府は半導体だけでなく、他の先端産業にも設備投資や研究開発などの資金を最低国債利回り水準の超低利で貸し付けるだけでなく、銀行との共同貸付を通じて支援規模も拡大する計画。
米国をはじめとした各国が高い関税を課して自国優先主義を強化していることで、輸出の根幹産業である先端戦略産業への支援が重要になっている。
金融委員会のクォン・ユイ産業金融課長は、「中国が半導体分野で10年間に562兆ウォンを投資するなど、韓国が優位に立っていた多くの産業で技術力の差が縮まっている」として危機感を露わにしている。
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