憲法上の独立機関である選挙管理委員会が、特権を享受する一方、極めてずさんな管理運営体制にあることが問題視されている。主に保守層から指摘された不正選挙問題に加え、選管委職員の子弟が就職時に優遇されるといった事例が判明した。これらを受け、選管委の管理体制の見直し、また「期日前投票」制度の廃止を訴える声が高まっている。
(ソウル=李民晧)
■「マフィア」さながらの選管委
権性東・国民の力院内代表は4日、国会で「不正採用と勤務怠慢の温床と化した『マフィア』、選管委に対し国民の不信感が高まっている。今週にも特別監査官法を党の方針として発議する」と発表した。監査院による監査で、採用時の優遇措置などといった選管委の不正が判明したにもかかわらず、憲法裁判所は選管委に対する監査院の監査は「違憲」であると言い渡した。国民の力はこれを踏まえ、関連法を法制化させ、選管委の不正を阻止したい考えだ。
国民の力は、選管委の組織を立て直すべく、特別監査官の派遣と人事聴聞会の導入、裁判官と選管委員長の兼任禁止、市・道選管委に対する国政監査の導入などを課題として掲げた。権院内代表は「自浄能力を失っているのであれば、第三の機関によりメスを入れてもらう必要がある」と説明した。
選管委はこれまで、不正選挙などずさんな選挙管理体制と人事を行ってきたにもかかわらず、監査院による監査ですら「監査対象に該当しない」と拒否してきた。ところが、これに対する否定的な世論が高まったことで監査を受け入れる形となった。監査院は「過去10年間、選管委は291回に及ぶ中途採用を行い、そのうち878件で規約違反があった」(2・27)と発表した。
■「期日前投票廃止法」を提出
こうした選管委を法的に縛るための具体的なアクションも始まった。国民の力の張東赫議員は、期日前投票制度の廃止を骨子とした「公職選挙法改正案」を提出した。同党の李達熙議員は、投票箱の改ざんを阻止すべく移送時に警察官の同行を義務付ける法案を提出。同党の朴秀敏議員は、選挙と投開票システムを検査する「特別点検法」の準備を進めている。
しかし「与小野大」(少数与党・多数野党)の現状では、表決によって法案を通すことは不可能に等しい。よって、期日前投票の廃止に向けては世論を動かす一方、野党との協議がカギとなりそうだ。
第22代国会議員選挙の期日前投票。有権者が投票用紙を投票箱に入れている |