韓国の政局が混乱する中、尹錫悦大統領の弾劾反対を訴えるデモが全国的に拡大している。注目すべきは、これまで中高齢者中心だったデモに多くの若者が参加している点だ。さらにデモの参加にとどまらず、多数の大学が「弾劾反対時局宣言」を行い、大統領の弾劾に反対する立場を表明しはじめた。
弾劾反対時局宣言を準備しているソウルの大学は、高麗大・建国大・西江大・崇実大・梨花女子大・韓国外大・韓陽大などだ。延世大で10日、ソウル大では17日に弾劾反対集会が開かれた。
ソウル大学で開かれた集会では、参加者たちは「非常戒厳は大統領の憲法上の固有権限」と主張し、不正選挙の捜査を求めた。また、弾劾反対の集会を開いた理由について「大韓民国の自由民主主義を守るため」と説明した。
このように、学生街での弾劾反対の集会やデモは、一部の大学にとどまらず、次々と広がる雰囲気を見せている。
この動きは地方にも広がっており、釜山大学、崇実大、檀国大、仁荷大、27日には全南大、西江大、釜山外大などで時局宣言が行われる。「民主化の聖地」と呼ばれる光州の朝鮮大学でも、28日に弾劾反対の時局宣言が行われる予定だ。
■自由民主主義の正常化
求め声を上げ始めた学生
延世大学やソウル大学などで相次いだ「時局宣言」や学内の弾劾反対集会は、尹大統領の12・3非常戒厳が、野党による度重なる国政妨害や弾劾乱発、不正選挙疑惑などから生じたという認識が若い世代に広がった結果である。
若者世代が既存の枠組みとは異なる行動や声を上げ始めたのは、韓国社会の民主主義が正常に機能していることの証左であろう。
学生の主張は以下のようなものだ。
「弾劾の手続きは法治主義と憲政秩序の下で行われるべきであり、政治的扇動ではなく憲法に基づく手続きを遵守しなければならない」「私たちは沈黙せず、大韓民国を正しく立て直す」「憲法裁判所は被訴追人(尹大統領)弁護団の答弁期日を保障せず、弁論期日を一方的に指定するなど、基本的な裁判手続きを無視している」「憲法裁判所がTF(タスクフォース)組織を通じて審判を調整しているという疑惑が提起され、公正性と信頼性が深刻に揺らいでいる」
また不正選挙疑惑に対しても「大韓民国の選挙システムは外部からの介入に脆弱であり、不正選挙の疑惑が明確に解明されていない状態で弾劾が強行されるのは、民主主義の根幹を揺るがすものだ」「選挙管理委員会の電子集計システムはハッキングの可能性が高く、開票過程でニセの投票用紙が発見されるなど、さまざまな状況が確認されている」「憲法裁判所は公正な審理を保障し、選管は選挙操作の疑惑を透明に解明すべきだ」などと主張している。
右派を支持する、左派を支持するという思想的な問題ではなく、自由大韓民国を脅かすすべての勢力から国を守り、大韓民国の正常化のために立ち上がったという側面が大きい。これとともに、高官犯罪捜査処の捜査権論争、憲法裁判所の政治的偏向性を批判し、野党の立法独裁を糾弾している。
■3・1節にはソウルの
マロニエ公園から行進も
大統領の弾劾に反対する全国の大学生たちが3・1節にソウル大学路のマロニエ公園に集まり、時局宣言大会を開催する意向を示している。
時局宣言大会を主催・主管するのは「自由大学」。参加している大学は建国大、高麗大、高信大、慶北大、同徳大、釜山大、釜山外大、ソウル大、崇実大、延世大、梨花大、仁荷大、韓国外大、韓東大、漢城大、漢陽大など計16校(23日現在)だ。ソウル市鍾路区のマロニエ公園で時局宣言の朗読後、光化門まで行進する計画だ。
今後、憲法裁判所による最終的な判断が出るまでの間、韓国は政治的緊張が続く。尹大統領の弾劾が認められるか否か、またそれがどのような影響を韓国内外にもたらすかを注視せざるを得ない状況だ。
多くの大学が「弾劾反対時局宣言」を通じて政治的な意見を表明しているが、大学の宣言は社会全体に対して大きなメッセージとなっている。
大学は韓国の社会変革において常に重要な役割を果たしてきたが、今回も大きな力になると期待したい。
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