尹錫悦大統領側が弾劾審判の弁論で公開した控訴状に、「弾劾は北韓の指令によるもの」という証拠が付されたことに対し大きなインパクトを呼び起こしている。
〝北韓の指令〟とは、北韓の文化交流局が民主労総の幹部などに指示したというものだ。２０日、尹大統領側の金桂里弁護士が明らかにした公訴状の内容によると、「尹錫悦と一族、側近たちの政治醜聞と不正腐敗行為に執拗に食い下がり、法的処罰を要求する圧迫攻勢を持続的に強化し、尹錫悦弾劾闘争の火種を作り、第２のロウソク抗争の時のような大衆的な抵抗の気運を醸成せよ」という指令を下したのだという。
さらに、「華城・平澤地域の海軍第２艦隊司令部と、平澤ＬＮＧ貯蔵タンク施設、平澤埠頭配置図などの資料を収集すること。また大統領府や検察、統一部などの機関にも自由に出入りできるよう人脈関係を厚くする」ように指令が出された。また、「文在寅を支持する勢力と連帯し、朴槿惠退陣のためのロウソク闘争の時のような反保守闘争の力量を確保せよ」との指令も下された。
とくに日本の福島原発汚染水（処理水）の放流と関連させながら、反日世論を煽るよう指示した北韓側は「日本との葛藤を、取り返しのつかない状況へ追い込むようにせよ」との指令も出したという。
金弁護士は「ここ数年間、韓国社会の葛藤が全て民主労総スパイに通達された北韓指令文に含まれていることが確認された」と明らかにした。
金正恩は叔父を銃殺・兄を毒殺しており、党軍幹部３００人を処刑した殺人鬼だ。彼の祖父・金日成と父・金正日は、粛清に際して処刑を選んだ場面はごく少数で、ほとんどが人事異動や左遷または政治犯収容所への収監だった。
一方で、２月２１日に開かれたアメリカ保守主義連合（ＣＰＡＣ）の行事はトランプ大統領が直接出席する超大型イベントだった。当日、トランプ大統領は「不正選挙で国会を掌握した韓国の親中・従北反国家勢力の代表の李在明が、尹大統領を不法弾劾・不法拘束して保守政権を崩壊させようとしている」と主張したゴードン・チャン弁護士を名指しし、「ゴードン・チャン弁護士の講演に１００％賛同する」と特別激励した。トランプ大統領は内政干渉に当たる恐れがあるため、尹大統領への支持を間接的に表明したのだ。
最近、トランプ政権が任命したＣＩＡとＦＢＩ局長の国会承認が終わったことから、近く中国が主導した国際不正選挙の調査結果と全貌が公開され、韓国の従北・従中勢力に対して本格的な圧力がかかるとみられている。当日の大会で、トランプ第１期政権で国際刑事法大使を務めたモスタン教授は「韓国戦争時に米軍５万人が犠牲になって守った自由大韓民国を絶対に中国・北韓に引き渡してはならない」と強調した。
尹大統領が昨年１２月３日、戒厳令を宣布する直前は支持率が１０％台まで急落していた。しかし、戒厳令を宣布してから間もなく支持率が５２％に急騰し、６０％台まで向かっている。半面、歴代最悪の失政を犯した文在寅と日常茶飯事のように嘘をつく李在明の誤魔化しを正確に見抜いた国民は、共に民主党に背を向け始めている。
したがって、尹大統領の戒厳令は眠っている国民を覚醒させた”啓蒙令”であるとの評価も出てきている。
２月１５日、最大の野党支持地帯である〝あの〟光州で開かれた尹大統領弾劾反対の集会は、１０万人が集まり大盛況となった。だが、左派の弾劾賛成集会にはわずか５０００人しか集まらないという大異変が発生した。
現在、尹大統領の弾劾に反対を表明した地域は、ソウルをはじめ釜山・大邱・光州・大田・木浦など全国に拡大しており、２０～３０歳を中心とする若い世代をはじめ、全国の各大学が次々と弾劾反対の声明を叫びながら、弾劾反対デモが燎原の火のように燃え広がっている最中である。
若者世代と大学生らが叫ぶスローガンは〝尹大統領が正しかった〟だ。尹大統領の弾劾反対デモが全国に拡大しているため、裁判は国民世論を受け入れなければならないので弾劾が棄却される可能性は高い。
ちなみに４件の裁判が控えている李在明は実刑を受けるはずだ。韓半島は米中覇権争いの最戦線であるから、米国が親中左派政権の登場を絶対許さないと考える。

高永喆（コ・ヨンチョル）
拓殖大学客員教授、韓国統一振興院専任教授、元国防省分析官。著書に『国家情報戦略』（佐藤優共著、講談社）、『金正恩が脱北する日』（扶桑社）など。