サムスン電子の李在鎔会長、米オープンAIのサム・アルトマン最高経営責任者(CEO)、ソフトバンクグループ(SBG)の孫正義会長兼社長は4日、ソウル市内で会合を開いた。生成AI(人工知能)分野での協力について話し合われた。今後も協議を継続するが、サムスンにはAI向け半導体供給と投資が期待されている。中国が低コストで開発した生成AI「ディープシーク」が世界を驚愕させたことで、韓日米同盟を強化して開発スピードのさらなる加速を狙う。
同日の会合についてサムスンは公式なメッセージを出していない。SBGの孫会長は詰めかけた報道陣に「よい議論だった」と述べ「サムスンも生成AI事業開拓に参加するのか」との問いに対しては「さらに議論する」と答えた。
サムスンの2024年10~12月期連結決算によると、営業利益は前期比で29・2%減、売上高も前期比5・2%減だった。スマートフォンやパソコンなど、全般的なIT需要が予想を上回る不振となり、主力のスマホ、パソコン向け汎用半導体メモリーの収益性悪化が長期化したことが要因となった。生成AIはサムスンにとって、新規事業開拓のチャンスと言える。
オープンAIは対話型人工知能(AI)「チャットGPT」を開発。すでに米国ではSBG、米オラクルなどとともに、AI関連のインフラ整備に4年間で5000億ドル(約78兆円)を投資するスターゲート計画を表明している。
アルトマンCEOが日本に滞在していた3日には、SBGと生成AIの共同出資会社を日本国内に設立すると発表した。
同CEOは4日に訪韓すると、非公開のオープンAIの開発者向けワークショップに登壇。直後にはSKグループの崔泰源会長と会合を持ち、AI向け半導体、AIアシスタントサービスでの協力などについて話し合った。
同日、ネット大手カカオとAIの技術や製品開発で戦略的提携を結び、AIサービスを共同開発すると発表した。会見でアルトマンCEOは「半導体やエネルギー、IT(情報技術)までさまざまな産業があり、AIを適用する環境が整っている」と韓国市場を評価した。カカオの鄭臣雅CEOは「顧客を最もよく理解する個別最適化したAIを導入する」と提携の狙いを説明した。
カカオは国民的対話アプリ「カカオトーク」を運営し、韓国で人口の9割以上が利用している。一方で中国IT最大手のテンセントが大株主となっていて、韓国国内では情報漏洩の不安など、一部から懸念が示されている。
オープンAIは、アジア地域としては日本とシンガポールに支社を置いており、年内に韓国支社を設立することが有力視されている。 |