韓民族は人類文明史に残る代表的な表音文字(ハングル、訓民正音)と表意文字(漢字、甲骨文字)を発明した。一つの文章の中で2つの文字を自然に一緒に使える。世宗大王が創制(1443年)、頒布(46年)したハングルは、独創性と科学性で人類の偉大な知的遺産で、特に人工知能などデジタル時代にその有用性や無限の可能性がさらに注目される。21世紀にまだ固有文字のない種族の中にハングルを彼らの記録手段にする種族もいる。
ハングルは、訓民正音頒布から494年後に発見(1940年)された訓民正音解例本により本格的・体系的研究が可能となり、近年も新しい発見が発表され続けている。ハングルは、古朝鮮から韓半島の言語と文字生活はもちろん、東アジア諸民族の言語と文字を広く研究した結果だ。
東アジアの諸民族は古代から漢字を記録手段としてきたが、孤立文法構造の漢族の言語と合わなかった。言語と宗教の異なる漢族に文化的に吸収されないように漢字を変えるか新しい文字を制定する努力をしてきた。その跡は碑文や硬貨、金石文、史書などに数多く残っている。
訓民正音は、西蔵文字、契丹文字、女真文字、モンゴル文字、パスパ文字、古代インドの音声学などまで研究したことが知られている。漢字も東夷族が作った甲骨文字から起源したのが20世紀初めに分かる。世宗大王のハングル発明の目的やその自主性は訓民正音解例本序文に明記されている。「(前略)国の言葉が中国と違って(後略)」。ところで、ここに書かれた「中国」に大きな秘密があるというのが本紙に万葉集の解読を連載中の金永會氏の主張だ。
歴史的に中国という王朝(国)はなかった。古代には皇帝(天子)が統治した中央地域(首都地域)を指した。訓民正音解例本の中国に対する註も「皇帝がいる所」となっている。清が19世紀半ばに初めて「中国」を使用、正式国号となったのは辛亥革命(1912年)後だ。だが、古代から韓半島の「郷言」では中国の中は「割る、分ける」という意味合いで使われてきた。つまり、周辺国を脅かし、迫害する強大な中原の国(明)の分裂を念願する「朝鮮」の意志が隠された表現だ。 |