5日に開会した第22代韓国国会で、前代未聞の事態が起きた。与党議員が参加しなかったのだ。1967年の朴正煕政権、20年の文在寅政権時に野党第1党が参加せず、与党単独で国会が開かれた前例はある。だが、野党が単独で国会を開く事態は制憲国会以降初めてのことだ▼問題は常任委員長の配分を巡る与野党の対立から始まった。これまでは国会法制司法委員長が第1党であれば、運営委員長は第2党から選出するといった暗黙の慣例があった。これを事前の調整で野党側が拒否した▼現在、国会は野党が絶対多数の議席を持つ。国会法に基づいて採決すれば、野党の要求は全て成立する。野党が18の常任委員長をすべて占める状況も作れるわけだ▼国会は法律の制定、予算の審議・議決をする機関である。与野党の勢力対立をすべき場ではない。ねじれ国会だった前国会でも、国民年金改革案、少子化対策関連法案など与野党の意見がまとまらずに処理できなかった法案は多い▼国会議長には、「国民の力」の議員不在のまま、共に民主党の禹元植議員が選ばれた。文政権時代、同党の院内代表を務めた人物だ▼尹錫悦政権発足後の2年間、尹大統領が公約に掲げてきた労働・教育・年金の改革は、野党の壁に阻まれ成果を出すことができなかった▼総選挙で与党が多数議席を得ることが改革を進める唯一の方策だったが、与党は惨敗。議会への参加を放棄した代償は、与党をさらなる窮地に追い込む悪手だったといえるだろう。根本的な対策こそ必要ではないか。 |