北韓の威嚇行為がエスカレートしている。5月28日、ごみなどが入った「汚物風船」約260個を韓国側に向けて飛ばした。反韓のメッセージが書かれたビラとともに、一部の風船には動物の糞便らしきものも入っていたと報道された。風船は軍の化学兵器対応チームや爆発物処理班が回収しており、関係機関で詳しく分析しているという▼北韓は以前から、脱北者などが大型風船を使い、金正恩体制を批判するビラなどを韓国側から北韓へ飛ばしていることに対して抗議を行ってきた。29日には、GPS妨害電波も発信し、仁川海上を行き来する漁船や旅客船の航海装置が誤作動を起こした▼30日には「超大型放射砲」と推定される短距離ミサイル10余発を東海上に発射した。4年半ぶりに開かれた韓日中首脳会談への牽制、軍事力誇示が目的と見られるが、北韓による弾道ミサイルの発射は今年5回目。「衛星」発射も含めると7回目となる▼弾道ミサイルはもちろん、風船ですら細菌兵器に変わる恐れがある。GPSも同様、有事の際に使われれば、通信の混乱は避けられない▼韓日中サミットで3首脳は、韓半島問題について「平和や安定、繁栄の維持が3カ国の共通の利益にかない、共通の責任であることを再確認した」とまとめたが、「安定」とは現状維持とも読み取れる▼中国は台湾に対して「一つの中国」の原則を認めるように迫っており、東アジア情勢は緊迫している。ウクライナ戦争やパレスチナ紛争は遠い世界で行われていることではない。 |