韓国は一般的に大統領中心制と思われているが、現在の大韓民国は事実上、国会中心制といえる。民主政治制度は、基本的に権力の相互牽制と均衡を理想とし、これを「3権分立」を通じて具現する。
だが現在の韓国第6共和国憲法にはこの国家権力の相互牽制に致命的欠陥がある。国会に行政府と司法府などを牽制、統制する権限が付与されている反面、国会を牽制する装置が全くない。
そのため、国家権力において絶対的優位に立つ国会さえ掌握すれば、大韓民国国家権力を最終的に掌握することになる。つまり、総選挙は、政党(政治結社)の巨大な既得権・独裁権力となった国会の掌握を越え、国家権力全体を掌握する奪権闘争となった。そして国会を掌握する政治結社(政党)が暴走すれば、単なる国政の混乱を越え、国家の混乱が危惧される。
ところが、この”形だけの民主体制”ないし”代議民主主義”で、国会独裁の深刻さをほとんどの韓国人は実際には分かっていない。この国会をいかなる勢力が掌握し、その勢力の隠された目標とビジョンは何なのかに無関心だ。
韓国人たちは長年の成長と豊かさの中で、いつの間にか韓国の選挙が、自由民主憲法体制内での権力闘争ではなく、憲法を守護する勢力と憲法を否定する勢力の間の戦いになっていることを無視、否定する。
韓国は社会主義を追求する勢力により、すでに社会主義化が危険水準を超えた。第6共和国以来、分配中心の政策によって国家の成長潜在力が使い果たされ、中産層が崩壊、普通の人々は国家と政府の福祉に依存するようになったからだ。
今の国会(政党)は、大韓民国の安保に無関心だ。
国会の内には、韓国の安全を韓米同盟、あるいは共産主義中国に依存しようという人物が大半だ。韓国の運命を他国や国際機関などの基準で処分を任せる者たちだ。国会が自由民主体制を脅かす存在となった。立法権と予算権を持っている国会が、国家発展と存続の基本となる出産率低下にも根本対策を講じていない。
国際秩序が激変している。イデオロギー的な同盟に安保を頼る時代は過ぎ去った。ヨーロッパもすでにNATO後に備えた合従連衡が始まった。すべての国が新しい国際秩序に備えている。中東の秩序も変わった。テュルキエとNATOの関係も変わるしかない。米国の同盟国が米国のない安全保障に備えているほどだ。BRICSはセルビアに加入を招待した。
過去70年間、韓米同盟に慣れてきた韓国人たちは目を覚まさねばならない。米英の言葉(約束)を信じて戦争を選択し、国家のすべての資源を使い果たし敗北したウクライナを見るべきだ。将来の国家再建に必要な国民を失い、国家の存立が難しいほどだ。NATOの野望のため自国民をほとんど犠牲にしたゼレンスキーは決して許されないだろう。
米国と西欧は、ロシアとの平和共存を考えていない。NATOはロシアとの核戦争を辞さないと言っている。余計な戦争に同調し巻き込まれる理由などない。昨年8月のキャンプデービッド別荘での戦略共助を誓った韓米日首脳の共同声明は、現実でどれほど抑止力があるのだろうか。韓国政治を決定する最も強力な常数は依然として北韓だ。少しでも不安な点があれば、韓国は独自の核抑止力を持たなければならない。
大韓民国は途方もない危機的状況に直面して漂流している。そして大韓民国の漂流の中心に”形だけの民主制度”の国会がある。主権者が巨大な独裁権力となった国会の支配を受けるわけにはいかない。反憲法勢力の拠点となった国会は、変えねばならない、変えられないなら解体し、なくすべきだ。総選挙もその機会だ。 |