世間では、日本経済は1950年の韓国戦争特需のお陰で高度成長期を迎えるようになったと言われている。
一方、韓国も1965年のベトナム戦争特需が経済成長のきっかけになった。特に同年、韓日国交による日本からの技術資本提供のお陰で浦項製鉄をはじめ三星、現代、LGなど大手企業が経済成長を導いた。さらに、70年代の中東建設特需が韓国経済成長の牽引車になった。
米国は基軸通貨であるドルの覇権国家とは言え、貿易赤字と財政赤字を抱えている。ところが、米国の双子の赤字を挽回してくれるのが世界最大の防衛産業体だと専門家の間で言われている。言わば、軍産複合体が米国経済を支えているという。
防衛産業は米国だけではなくドイツ、フランスなどEU諸国とイスラエルやロシア、中国、イラン、北韓も国際防衛産業市場で武器輸出に力を入れている。
防衛産業は殺傷武器商売という否定的なイメージがある半面、自国の防衛と平和安全を守ってくれる心強い産業として肯定的な認識が定着している。
IT、AI、半導体、衛星、通信、自動車、造船、原子力など重化学工業は防衛産業の基盤となっており、一国の先端技術と経済を支える基幹産業として位置付けられている。
ちなみに、大韓民国営業社員第1号を自任する尹錫悦大統領は、セールス外交の先頭に立っている。
7月10日、NATO首脳会議に出席した尹大統領は13日、ポーランドのドゥダ大統領と首脳会談を行った後、15日にはウクライナを電撃訪問し、ゼレンスキー大統領と1兆ドル規模の戦後復興事業について協議した。昨年、韓国はポーランドにK2戦車約1千台、K9自走砲670門、FA―50軽攻撃機48台など173億ドルを受注した。それに加えて多連装ロケット(MLRS)288門と迎撃ミサイルの輸出も契約した。
ちなみに、国際防衛産業市場では韓国製兵器がベストセラーとなっている。
ポーランドが韓国製兵器システムを導入した背景は、昨年2月にロシアがウクライナに侵攻し安保危機に直面したことがある。
ポーランドは国境を接するウクライナ防衛のために戦車400台のうち200台と自走砲、多連装ロケット、装甲車などをウクライナに提供した。
結果、ポーランドに戦力の空白が発生して足りない兵器を早期に導入しなければならない状況に置かれた。
ところが、近いドイツやフランスでは冷戦後、戦車や自走砲などの兵器体系の開発と生産規模が大幅に縮小した。
世界最大の防衛産業体を持つ米国は発注日程が滞り、ポーランドが望む物量を納期内に譲渡するのが難しい状況だ。だが、韓国は低いコストと早い生産で納期に間に合うメリットがある。
ポーランドは韓国の兵器システム関連技術を移転してもらい、K2戦車とK9自走砲などはポーランド現地工場を建設し、2026年から現地生産する計画だ。
一方で昨年12月、韓国はUAE(アラブ首長国連邦)と35億ドル規模の迎撃ミサイルM―SAM2輸出契約を結んだ。
また、オーストラリアとK9自走砲(10億ドル)と装甲車(75億ドル)の輸出契約を結んでおり、昨年2月にはエジプトと15億ドル規模のK9自走砲輸出契約を結んだ。
昨年3月にはサウジアラビアが韓国のM―SAM2迎撃ミサイル、次期護衛艦、防空システム(計60億ドル)の輸入契約を採決した。さらに、マレーシアとコロンビアが韓国のFA―50軽攻撃機(計17億ドル)を輸入することを決めた。韓国製FA―50軽攻撃機は、米国F―16と同等な性能だが、値段は半額に過ぎない。
また昨年4月28日、マニラ国際防衛産業展示会でフィリピンは韓国製潜水艦2隻の導入契約を行い、インドネシアに次いで2番目の韓国潜水艦輸入国となった。
冷戦後、欧米の軍事強国は兵器を大量生産する必要がなくなった。しかし、韓国は北韓の脅威に直面しているため、武器を大量生産できる防衛産業が整っている。
費用対効果の面で優れており、少ない国防予算で効果を極大化できる代案として、韓国の防衛産業が国際社会で脚光を浴びている。 |