尹錫悦大統領は政権発足後、脱中国に舵を切り、韓米関係の強化を推進している。バイデン米大統領の訪韓時、ソウル近郊にあるサムスン電子の半導体工場で「韓国と米国の産業とテクノロジー同盟の現場だ」と、産業面でも両国関係の重要性を強調した▼とはいえ韓米関係は、やはり安全保障面での同盟が根幹となるだろう。韓半島有事を想定した合同軍事演習は、以前より大規模に行われるようになった。今年6月には先端兵器を投じた「連合合同火力撃滅訓練」を実施し、過去最大規模の攻撃力と機動力を披露する予定だ▼ところが経済面では、まだ韓米間の連携は強固とはいえない。米国が打ち出した「半導体法」「インフレ抑制法」は、対中半導体輸出規制強化策という名目だが、実質的には米国の産業を保護する自国第一主義であり、ターゲットとなる半導体やEVを主力産業とする韓国は、梯子をはずされた形となった▼そればかりではない。尹政権下で推進する原発の輸出にも米国はブレーキをかけてきた。韓国水力原子力のチェコへの原発輸出に対し、米ウェスチングハウスは、韓国型原発は韓国に輸出した技術で、韓国がその技術を第三国に再移転する際には米国の許可が必要と訴えている▼今の韓米経済関係は、「通商法301条」や「日米半導体協定」などの米国の圧力により衰退した、以前の日米経済関係にも似ている。韓米同盟は今年で70年の節目となるが、その重要性を損ねることなく、韓国の国益を守る外交力も必要と言えるだろう。 |