１０月２９日土曜日夜、韓国ソウル市の梨泰院でハロウィン・パーティーを楽しむために集まった多くの人が、群衆に押されて亡くなった。グローバル化で異国の文化を楽しむのが普通になっているが、その由来と歴史などをよく理解し、丁寧な責任ある共有が必要だと感じた。
そして驚くのは、この事故に関するいろいろな噂についてだ。数日前に起きたことでも、様々な利害関係などによって真実がわからなくなる。すると、歴史というのは何％が事実かしらと考えた。
だから私が書いている連載も、疑問を持って読み、その疑問を解くために北朝鮮を掘っていくと、より多くの事実が世に知られて、人権に関する人類史に、少しでも役に立ってほしいと思った。
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ドンスが死にかけているのではなく、今は死んだという現実に、私の心は意外に落ち着いていた。ドンスが何も見えず、聞こえず、食べられずに激痛で苦しんでいる時に何もしてあげられない悔しさからか、正確にはわからない不安で、ずっと不穏な心境だった。
しかし今は、何の考えも浮かばないが、一方で心身とも気楽さを感じた。ドンスの頼みである家の件についても、何の考えもなかった。ドンスが生きているときに悩んで、ある程度の準備をしていたいろいろな計画も、思い出したくない気持ちが強く、ぼうっとしていた。
ドンスの家に集まった人たちに「自分の気持ちのままに進みたいです。今は、ドンスのお母さんの帰りを待ちたいです」と話し、彼らの意見については言及しなかった。友人２人に「今すぐドンスの体を拭いてくれませんか？　私はドンスに着せる服を持って来ます」と言って、立ちあがった。「ジョン先生、後で連絡いたしますので、今はお帰りください」と言って外に出た。何か問題が起きたときも含め、ジョン先生は他の患者も診ないと、と思った。
冷たい風は気にしないで、ドンスに着せる服について考えた。夫の背広か、白い下着？　ただの布？　そう思って、白くて薄い布４メートル分を買った。ドンスの家に帰り、無言で薄暗い中、床に白い布の半分を敷いた。友人２人が察して、ドンスを布の上に移した。その上に残りの布をかけて覆った。窓を開けたら、冷たい風が一気に入った。台所で泣いているキム君の手を握って、外に出た。アパートの玄関で職場の責任者に会い、彼が後ろからついて来た。近くの川岸まで行ってキム君を抱き「声を出して泣いて」と言い、私も声を出して泣いた。一緒について来た職場の責任者が、私とキム君を抱きしめた。薄暗い冬の川辺の殺風景の中で、親近感が湧いた。
キム君が「これからどうしますか」と聞いて来た。キム君の涙を拭きながら「私もわからない」と答え、川の方に向いて息を長く吐いた。キム君がまた「隣家はどうしますか」と聞いて来た。私はそんなことまで心配しているキム君が可哀想で、また彼を抱きしめて「私が隣家の世帯主に会う」と、川に向かって宣言をするように答えた。
職場の責任者に「キム君をお風呂で暖めて、ひと晩様子を見て下さい」とお願いした。職場の責任者の私に対する気持ちを利用した訳ではなかった。このぐらいの面倒をみるのは、こんな社会のひとりの大人として当たり前だと思って、堂々とお願いした。ドンスと一緒にいたいというキム君を見送って、ドンスの隣家へ行った。ノックをしたら、中年の女性が出てきた。自己紹介をして「この家の世帯主に会いたいです」と、用件を話した。中年女性は自分紹介をせずに「そのことなら、私に言って」と、目にも声にも力を入れて返事を返した。
彼女の威圧的な態度を私は無視して「世帯主はいませんか」とまた質問した。「私に用件を言わないなら帰って」とドアを強く閉められた。その後、人民班長に会ってドンスの死亡と、ドンスの母を待つことを伝えた。それと、ちょっと前の隣家での出来事を話した。すると人民班長は「どうしよう、その人怖いの、どうしよう」と本当に恐怖を感じている顔つきだった。