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2022年09月13日 12:45
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韓国スローフード探訪77 薬食同源は風土とともに
貝の旨み豊か 江原道・束草のヘジャンク

 韓国ドラマの第一次ブームのきっかけとなった、ユン・ソクホ監督による『冬のソナタ』。このドラマは社会現象まで巻き起こし、韓国を訪れる人が急増しロケ地巡りの人気が高まった。このドラマはユン・ソクホ監督の四季シリーズすべてに及び、『春のワルツ』『夏の香り』『秋の童話』のロケ地巡りは観光スポットになった。
旅行ガイドブックの取材で最初に束草を訪れたのは1999年だった。その頃は、東海岸にある漁港の街として紹介する程度。それが、『秋の童話』のロケ地となったことで取材に行くことも多かった。取材旅行は常にタイトなのだが、2008年ごろ取材で江原道を数日間回ったときに、束草に滞在した。宿泊は市内ということで、観光スポットのひとつ束草観光水産市場にもタクシーで数分のところだった。取材サポートをしてくれていたチョン・ナンヒさんから「ここに来たら水産市場には行かないと」ということで、次の取材地へ移動する日に市場で早めのランチをとった。
水産市場と聞いただけで釜山のチャガルチ市場を連想したのだが、行ってみてビックリ! ソウルの南大門市場を巨大化したような大規模市場が広がっていた。観光に精通しているチョンさんは、縦横無尽に延びる市場内の通りを知り尽くし、総菜が並ぶ通りと食堂の通りへと連れて行ってくれた。食欲をそそるいい匂い。出来たての総菜に自然と足が止まってしまうほど。「すごい! 観光市場と書いてあるから日本人も平気ね」と、慣れない取材ですっかり疲れてしまい言葉数が少なかった若手スタッフも大はしゃぎ。
まずはランチ。チョンさんの勧めで入ったのがヘジャンクの店。「えっ!ここまで来てヘジャンク? お酒も飲んでいないし」と知ったかぶりをしてチョンさんに話すと「慶州やソウル、安東といろいろな所でヘジャンクは食べたと言っていたけど、ちょっと違うから」とそっけない。
栄養価も高いヘジャンク
 「ここですよ」と言われ、こぢんまりとした店内へ入った。いくつかのメニューがあるようだが、チョンさんは「この店のホンハッヘジャンクは他で見たことないから」と言いながら勝手に注文をした。数分待っただろうか。「ムール貝? これもヘジャンクなの?」と質問しても、チョンさんは「冷めないうちに」と言うだけ。
スープから口にした。「うわぁ! これがヘジャンク?」と思わず声が出た。貝の旨みが全身に行きわたるかのような滋味深い味。それをピリ辛感のある味つけがアクセントとなり、食欲をそそる。ムール貝の他にニラや大根、ネギ、もやしなどが入っていて栄養価も高い。
夢中で食べてしまい写真を撮るのを忘れてしまうほどだった。記録しておこうと途中で写真をパチリ。「これもヘジャンクなのね」とボソッと独り言。隣で食べていたチョンさんが、「たぶん、牛の血の小さな塊が入ったものが一般的にヘジャンクと覚えたからでしょう。朝鮮時代から酔い醒ましのスープとして、二日酔いの朝に食べる習慣がありますね。随分前に安東で朝食にヘジャンクの店に一人で行ったら、サラリーマンばっかりだったと話していたのを聞いて、驚きましたよ。だって、朝から女性が一人で行くことはあまりないから」と大笑いしながら「ヘジャンクは土地によっていろいろあって。昔はもっと大きなソッと呼ばれる貝を使っていたらしいけど、今はこのムール貝も獲れなくなり、種というか養殖のようにして育てているものだと聞いています。美味しいでしょ!」
店主とチョンさんが会話を交わしていた。東京から取材で江原道に来ていること。ムール貝のヘジャンクを初めて食べて、美味しいと言っていることなどを伝えているようだった。店を出る時に店主が「さよなら。また来てください」と日本語で声をかけてくれた。
韓国に行けたら、ホンハッヘジャンクを食べに行きたいと思う時期がやってきた。猛暑で弱った身体には効果満点のはずだ。

新見寿美江 編集者。著書に『韓国陶磁器めぐり』『韓国食めぐり』(JTB刊)などがある。

2022-09-14 5面
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