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2022年05月31日 12:28
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デイリーNK・高英起の 髙談闊歩―第21回― 北韓で医療崩壊は起きるのか?

  北韓で新型コロナウイルス(COVID―19)の感染拡大が止まらない。北韓は5月12日に開かれた朝鮮労働党の会議で、オミクロン変異株「BA・2」の感染者が発生したことを明らかにした金正恩総書記は、会議で防疫システムに盲点があったと厳しく叱責したが、その2日後の14日にも労働党の会議を開催し、4月末から5月13日の時点で52万以上の発熱者が発生し、27人が死亡したと明らかにした。
28日の会議では、4月末から5月28日までに累計約344万8880人の発熱患者が発生したという。北韓の人口が推定約2500万人だから、10人に1人以上が感染していることになる。拡大どころか核爆発級の感染爆発だ。28日の会議では、94・602%の約326万2700人が全快し、18万6100人が、治療を受けていると報告された。つまり99・9%の発熱患者が全快、または治療を受けているということになるのだが、いずれの報告もはなはだ疑わしい。
そもそも、なにをもって「全快」というのだろうか。平壌の内部情報筋によると自宅隔離の場合は7日、隔離施設に収容された場合は7日から10日が過ぎると、熱や咳の症状があっても隔離が解除され「全快」扱いになるという。別の内部情報筋は、平壌市内の一部でしかPCR検査が行われていないことから、期間で区切って一律で「全快」扱いにすると伝える。平壌市内の隔離施設では、朝食と夕食に、トウモロコシ飯、ジャガイモ、塩スープ、昼食にはトウモロコシ麺と沢庵の入ったスープが供されるなど、それなりの食事が出されるようだ。しかし、自宅隔離者に対する食糧配給は一切行われていないようだ。
地域の人民班長(町内会長)らがコメなどを貸し与えるが、国からの支援は一切ない。また、地域担当の社会安全員(警察官)は、隔離対象者が勝手に外出しないかを監視し、外出を発見した場合は逮捕し、勾留場や待機場に拘禁後、非常防疫司令部直属の社会安全省(警察庁)の機動打撃隊員によって護送車で強制帰宅させる。そして、自宅の玄関ドアに釘を打って閉じ込める。中国でも同じようなことが行われていたが、北韓でも人権を侵害する過激なコロナ対策が行われている。発熱患者がまともな治療を受けているとは到底考えにくい。
北韓では、村や町に必ず1カ所以上の診療所があり、基本的な診察、治療が受けられる。大きな手術を受ける場合には、市や郡の中心地にある人民病院に赴く。診察、検査、医薬品いずれも無料だとしながら、先進的な「無償医療制度」を誇っている。しかし、実際は診察までは受けられても治療にかかる金銭は自己負担であり、無償医療制度がなし崩し的に崩壊して久しい。
今回のコロナ禍によって「医療制度が崩壊するのでは?」という意見も見受けられるが、崩壊する医療自体が存在しない―これが北韓の医療制度の現実である。

高英起(コ・ヨンギ)
在日2世で、北朝鮮情報専門サイト「デイリーNKジャパン」編集長。著書に『北朝鮮ポップスの世界』『コチェビよ、脱北の河を渡れ―中朝国境滞在記―』など。YouTube高英起チャンネルでも情報発信中!

2022-06-01 4面
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