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2022年04月19日 10:43
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韓国スローフード探訪71 薬食同源は風土とともに
豊富な海の幸が満載! 木浦の韓定食

木浦の食材が満載の豪華な韓定食
 韓国の南西部に位置する木浦は1897年の開港以来、港町として栄えてきた。湖南線とKTX(韓国高速鉄道)の終着駅としても知られ、近年はスローシティの魅力とともに、市のシンボルとなる儒達山と高下島など多くの島々がある多島海を一望できる木浦海上ケーブルカーも人気になっている。また、統治時代には多くの日本人が暮らした街でもあり、市内にある旧日本人街には商店や屋敷、企業の建物が当時のまま残されている。
かつて、珍島の海割れ(年に一度、潮の満ち引きで起こる現象で珍島と対岸の島を歩いて渡ることができる)の取材をするために、木浦に何度か宿泊したことがある。当時はまだKTXも開通していなかったが、多くの人で賑わっていた。その時は現地の人に教えられ特産のテナガダコの料理を食べたのだが、7年ほど前の5月のこと、日本人の田内千鶴子さんが夫君とともに創設した養護施設『木浦共生園』を訪れた際に、園の方から「木浦に来たら韓定食を食べないと」と勧められた。韓定食といえば、これまでもいろいろな街で食べてきていたこともあって、何となく出される料理も想像できたが「食べないとわからない」と思い、教えていただいた店に予約を入れた。検索してみると、確かに木浦産の食材を豊富に使い「膳の脚が折れるほどのご馳走」と呼ばれるような韓定食である。期待に胸膨らませ翌日の夕方、西の空が茜色に染まる美しい風景を見ながら店へと向かった。
店内に入ると用意されていたテーブルに案内され、店の方から「東京のどこからですか」と優しい声で尋ねられた。「あれ? 日本人とも東京から来たとも話していないけど」と内心、不思議だった。「料理が出るまで、韓国の伝統茶のひとつ五味子茶をどうぞ。少し暑かったと思うので冷たいものです」と言いながら、「みなさんのことは知り合いから聞きました」と。それで、日本人で東京から来たと。確かに、その時は共生園だけではなく、取材で沢山の方にお目にかかった時だった。
料理がワゴンで運ばれてきた!テーブルは次々に並ぶ料理でアッという間に満杯! 料理の皿を並べながら「木浦名物は知っていますか。テナガダコ、太刀魚、蟹、ニベ、ガンギエイの五つで、それらを味わえる料理になっています。ガンギエイはアンモニア臭がすると嫌われますがホンオ三合(ポッサムとキムチで挟んで食べる)という食べ方が昔から木浦にはあって、先人の知恵ですね」とにこやかに説明しながら料理を並べていく。「えっ、もう料理を置くスペースがないのに」と思っていると当たり前のように皿を重ねた。
ニベの焼き魚、テナガダコのユッケ、ガンギエイ、太刀魚のジョン。蟹は海苔巻きに入っていたような。ゴマ豆腐や数種のナムル、にぎり寿司、チゲ、キムチと地産地消のモデルとも言えるような料理の数々。どこから食べようかと迷っていると「まずはスープから。そして、ナムルと。あとは好きなように食べてください」と。「なるほど」と思った。
食べ進み、これまで体験したことがなかったガンギエイにトライしたがキムチとポッサムとの間に挟んだことで確かに臭みはなく、キムチの酸味が全体を包み込んだかのような食べやすい味であった。普段なら食べる機会がないテナガダコのユッケもまた食材そのものの淡泊な味が伝わってくる。
豊富な海の幸。そして、港町として栄えてきたこの土地ならではの、もてなし料理が多くの人を魅了する木浦の韓定食と言われるようになったのだろうと勝手な想像をした。「食べきれない時は無理をしないで。持ち帰ってもいいので」と。スープ類以外で少しずつ残してしまったものを容器に入れてくれた。最後まで、もてなしの心が伝わってきた。

新見寿美江 編集者。著書に『韓国陶磁器めぐり』『韓国食めぐり』(JTB刊)などがある。

2022-04-20 5面
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