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2022年04月05日 12:16
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韓国スローフード探訪70 薬食同源は風土とともに
初めての韓国旅行で味わった宮廷料理

宮廷料理のコースを堪能
 韓国のさまざまな地域で出合う郷土料理は、どれも地産地消と共に薬食同源に基づくものが多い。韓国の旅行ガイドブックを初めて担当することになった時、本取材の前に2人のスタッフと共にソウルを訪れた。それまではヨーロッパの取材が多く、韓国は隣の国であっても行ったことは一度だけだった。そこで、まずは旅行者として人気のスポットやグルメ情報を実際に体験する必要があると思い、ワクワクしながら出かけた。1997年のことだった。たまたま友人から「ソウルに親しい人がいるので紹介するね」ということでパクさんという方に連絡を入れた。パクさんはソウルにある梨花女子大学に勤務し日本語も堪能ということで、1週間のソウル滞在中にソウル市内をはじめソウル郊外にある水原・華城や民俗村を案内してもらった。水原の帰りのこと、パクさんから「韓国料理を知るには、宮廷料理を知った方がいいと思う」と言われ、「確かにどの国も王侯貴族から一般の人々へという流れはある」と思い、宮廷料理店に予約を入れてもらった。
ただ、数日間の滞在で焼肉にもいろいろあることや麺料理のバリエーションの多さ。葉物野菜に包んで食べる(サム)の楽しさ。ジョンゴルやチゲ、トゥペギと鍋の種類がそのままレシピにもなっている不思議さ。キムチの種類の多さ。伝統茶という茶文化の広さ。それに韓定食と呼ばれる宮廷料理も食べたとパクさんに話したのだが、パクさんは「それはわかるけど。予約をしたから、宮廷料理のスタートからデザートまで味わっておかないと本当のことはわからないから」と続けた。翌日の夕方、パクさんと共に予約を入れてくれた店へと出かけた。
品の良い店構えとお待ち受けの桜が春を伝えていた。韓服姿の女性が席へと案内しながら「日本人ですか?」と。「どうしてわかるのだろう?」と思いながら「はい。東京から」と応えると「上野は桜がきれいですね」と微笑んだ。彼女の流暢な日本語は、日本に留学した経験からとわかった。それにしても丁寧なもてなしである。席に着くとワゴンで料理が運ばれてきた。前菜からスタートし次々と美しい料理が運ばれ、3時間ほどかけていただいた。完食とはならなかったが、ほとんどの料理を味わってみた。
パクさんが「店主の方に質問してみて」ということで、少しだけ予習をしてきた、五味(塩・酸・苦・甘・辛)五色(赤・青・黄・白・黒)と薬念(ヤンニョム)について質問をした。パクさんは大学教授という仕事柄、おそらく質問の意図をくむのも早かった。その時に覚えたのが『薬食同源』『東医宝鑑』という言葉であり、医学書の名前であった。これらは、朝鮮時代に国の指針とした儒教に基づくものであり、それは日々の食生活にも影響を与えていると同時に韓国料理の世界観を垣間見ることができた。
店主から、味の決め手は昔から醤(ジャン)だと言われ、醤庫は宮廷の中でも日当たりと風通しの良いところに設けられことなどを教えていただいた。韓国料理をもっともっと知りたいと思った旅となった。
その後、本取材に入り学ぶことの連続ではあったが興味は尽きず、本の完成後に宮廷料理を習うためにソウルに滞在した。数年後、料理を指導して下さったハン・ボクリョ先生は韓国ドラマ『宮廷女官チャングムの誓い』で料理を指導しドラマを通じて韓国料理への興味が一層、強くなっていった。
先生からいただいた韓菓を作るときの道具は今も大切に使っている。桜が咲き入学式シーズンを迎え、今年もスタートした。日々の暮らしに、韓国料理の神髄とも言える補薬の考えを取り入れていこうと思う。できることなら、ソウルで宮廷料理をゆったりと味わえる日が早く訪れることを願う。

新見寿美江 編集者。著書に『韓国陶磁器めぐり』『韓国食めぐり』(JTB刊)などがある。

2022-04-06 5面
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