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2022年01月19日 00:00
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デイリーNK・高英起の 髙談闊歩―第13回― 金正恩体制10年の「成果」とは?

 新年早々、北朝鮮が相次いでミサイルを発射した。一月五日と一一日に「極超音速ミサイル」、一四日には鉄道車両から発射する「鉄道機動ミサイル」、一七日には弾道ミサイルを発射するなど、一月だけで四回もの発射実験を行った。金正恩総書記は一一日のミサイル発射実験に立ち会った。金正恩氏が軍関連の視察に出向くのは二〇二〇年四月以来、一年七カ月ぶりだ。
久しぶりの視察からは、今後もミサイル開発は進めるという金正恩氏の強固な意思が読み取れる。北朝鮮がミサイルを発射するたびに、「なぜミサイルを発射する余力があるのか?」と聞かれることがあるが、この問いはいささか的外れだ。北朝鮮にとってミサイル発射をはじめとする軍事力の強化、彼らが言うところの「国防発展」は国家建設の出発点と言っても過言ではない。
「建国の父である金日成主席は、抗日パルチザン闘争によって奪われた国家を取り戻し、金正日総書記は先軍政治で外圧をはねのけた。そして金正恩総書記は核とミサイルで今も我が国を守っている」というのが北朝鮮の理屈だ。国防発展は国家アイデンティティーであり、軍事力強化は余力でもなんでもない。だからこそ、金正恩氏は昨年の労働党創立記念に合わせて、わざわざ「国防発展展覧会」というイベントを開催し、核開発やミサイル開発などの発展を誇示した。
とはいえ、彼らの主張する国防とはあくまでも金正恩氏を頂点とした国家体制「金正恩体制」を守ることだ。結局、国防発展のツケを最も払わされるのは一般民衆であり、民主主義という普遍的な観念からは決して容認されるものではない。金正恩氏は、ことあるごとに経済政策の失敗に対して謙虚な姿勢を示しているが、その一方で軍事力強化については誇らしげに語っている。裏を返せば、金正恩時代の一〇年間で成果といえるのは核兵器やミサイル開発ぐらいしかないということだ。金正恩氏にとってミサイル発射は、米国や韓国に対する軍事挑発ではなく、形を持って誇示できるほとんど唯一の「成果」だ。
二〇一八年に行われた米朝首脳会談をきっかけに、北朝鮮の軍事強化路線は収まるかもしれないという楽観的な見方もあったが、それ以後も、頻度は減少したが、ミサイル発射実験をやめたわけではなかった。そして今回、二二年一月の相次ぐミサイル発射実験である。間違いなく、金正恩氏は今後もミサイル開発を継続していく。
とりわけ今年二二年は、金正恩氏が正式に朝鮮労働党のトップ(一二年に第一書記)になって一〇年目となる。金日成主席生誕一一〇周年、金正日総書記生誕八〇周年だ。昨年、金正恩氏はコロナ問題がまだ収まっていないにもかかわらず、労働党第八回大会を開催し、大規模な記念軍事パレードまで決行した。
核ミサイル開発をはじめとする軍事力強化は権威を高める唯一の手段だからこそ、金正恩氏が妥協することはありえない。権威が低下すれば金正恩体制が揺らぎかねないからだ。

高英起(コ・ヨンギ)
在日2世で、北朝鮮情報専門サイト「デイリーNKジャパン」編集長。著書に『北朝鮮ポップスの世界』『コチェビよ、脱北の河を渡れ―中朝国境滞在記―』など。YouTube高英起チャンネルでも情報発信中!

2022-01-19 4面
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