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2022年01月01日 00:00
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3代世襲・金正恩政権の10年
4人の専門家が現況を分析

 金正恩が北韓の最高権力者となって11年目を迎えた。金日成と金正日に続いて誕生した3代世襲権力。この10年間の執権は、現在にどのような結果をもたらしたのだろうか。文在寅政権が推し進める6・25韓国戦争終戦宣言は現実的といえるのか。金正恩が再び対話のテーブルに就くことはあるのか。北韓人権NGO社団法人「勿忘草」(朴宣映理事長)は先月15日、金正恩政権の10年を振り返り、多角的に総括する懇談会を開いた。(ソウル=李民晧)

「金正恩執権10年は生き地獄だった」。ソウルの旧中国大使館前で野外集会を行う北韓人権NGO「勿忘草」会員ら(2021年12月16日)

■ハッキングで犯罪資金を稼ぐ
在米脱北者 イ・ヒョンスン(元北韓労働党39号室所属・船舶会社副社長)

2017年以前の対北制裁は事実上、対北制裁とはいえない抜け穴だらけだった。中国と貿易していた11年から14年まで、制裁を受けていることは全く感じられなかった。他国で外貨を稼ぐ貿易商たちも同じだったはずだ。
その理由は、北韓の企業や個人をメインに対北制裁が行われていたからだ。北韓は状況次第で、偽造パスポートの作成とペーパーカンパニーの設立を一日で完結させてしまうからだ。よって、実質的な対北制裁が始まったのは16年末、中国が北韓の輸出入市場を遮断した時からだ。
実際、対北制裁で最も恩恵を受けたのは文在寅だ。制裁によって金正恩が韓国、米国との対話の場に出ることになった。制裁に効果がなければ、金正恩が首脳会談に出席する理由はなかったはずだ。しかし、最近では対北制裁の効果が薄れてきているように感じる。対北制裁の内容が定期的にアップグレードされず、制裁が回避されているからだ。北韓政権の外貨調達窓口となる労働力の輸出、金融資本の奪取などを阻止することができるならば、対北制裁は相当な効果を発揮するものと考えている。
仮に国際社会が対北制裁を解除しても、金正恩が核を放棄することは期待できない。国を開放し、住民の人権改善に乗り出すこともないだろう。なぜなら、核兵器こそが自分の命綱だと考えているからだ。開放と人権問題は政権を脅かす挑戦であり、アキレス腱だと捉えているのだ。
対北制裁が解除されても金正恩にとってはそれが変化の動機付けにはならないだろう。より効果的な対北制裁を加えるのが現時点では必要だ。

Q 金正恩政権の新たな外貨獲得手段について。

いまだ独裁者・金正恩の金庫は潤っている。現在の北韓の外貨獲得手段の窓口は主に二つだ。まず、海外に派遣した労働者の収入だ。北韓は国際社会の対北制裁を侵してまで、中国、ロシアに派遣した10万人の労働者を現地に留まらせている。彼らが稼ぐ外貨は年間3億ドルに達する。それが金正恩の隠し金庫に収められている。
二つめは、約5000人にも及ぶサイバー集団による国際金融網のハッキングだ。彼らは暗号貨幣(ビットコインなど)を奪取し、毎年数億ドルに及ぶ犯罪資金を稼いでいる。昨年は中国・丹東で北韓IT幹部らの会合が行われた。その時集結した幹部だけでも120人に達した。ハッキング集団は1チームが10~20人で構成されていることを踏まえると、丹東だけでも少なくとも1200人以上のハッカーが金正恩のために外貨を獲得しているのだ。

■「苦難の行軍」住民の生活困窮
人権専門家 池成浩(国民の力国会議員、脱北者)

金正恩政権10年を振り返ると、人権侵害が悪化の一途をたどっているといえる。国際社会の人権調査活動報告書によると、配給が途絶え、平壌以外の住民たちは生活苦に喘いでいるという。かつての”苦難の行軍”と何ら状況に変わりはない。
コロナ禍の中、住民の経済難はより深刻化している。国際社会の対北制裁強化が、罪のない住民たちに苦痛を強いる形となって返ってきている。反対に、北韓政権は国際社会から孤立してワクチン支援すら拒否した結果、北韓住民たちは生死の境目に立たされている。
金正恩はスイスへの留学経験があったことから、最高権力者の就任当初は北韓の変革に期待する向きもあった。しかし、金正恩に改革開放の意志はまるでない。改革開放が為されれば、映画やドラマといった外部メディアも解禁されるべきだが、現状ではむしろ逆行しているといえる。反動思想文化排撃法(2020年12月)の施行など、住民に対する思想統制はより強化され、対北ビラ散布を防ぐための禁止法まで韓国政府に要請した。
金正恩政権の10年間は結果的に、彼らの内部における自浄能力がないことを示した。北韓人権問題を解決する方法は政権交代だ。金氏政権を終結させるしかない。そのためにも、人権問題は今後も提起し続けなければならないのだ。
国際世論化に向けて、世界各国の議員らを糾合し「北韓人権国際議員連盟」を設立するという方法がある。これについては、米国議会民主主義パートナーシップ(HDP)で複数の国の議員たちと意見を交わし、今後具体化させていくことで一致している。
さらに、各国ごとに「北韓人権法」を制定する必要がある。米国の「オットー・ワームビア法」のように、北韓で人権侵害を受けた被害当事者が直接、北韓の責任を追及する被害補償法の制定も推進する必要がある。

金正恩執権10年を振り返る専門家懇談会のもよう

■戦争責任の糾明が必要
軍事専門家 張光鉉(元国連司令部軍事停戦委員会韓国側首席代表)

文在寅政権の任期も残りわずかとなったが、政治的宣言に過ぎない終戦宣言をあえて題目にする理由は二つだ。一つめは、政権が掲げる対北政策「韓半島平和プロセス」を、終戦宣言によって再稼働させたいからだ。二つめは、3月の大統領選挙を前に、南北関係が政略的に活用できるカードだからだ。
しかし、終戦宣言に対する米国と北韓の立場は異なる。米国は”北韓非核化”問題の解決があってこそ議論のテーブルに就くことができるというスタンスだ。表向きには「終戦宣言を支持する」「北韓を敵対視しない」などと表明しても、米国は一貫して「北韓が核を廃棄するなら」という枕詞をつけてきた。また、米国は終戦宣言が国連司令部解体の口実になることを懸念しており、文政権が”終戦”と”宣言”の因果関係をはき違えていると考えている。
北韓は半面、終戦宣言以前に米国の対北”敵対視政策”と”ダブルスタンダード”を撤廃するよう主張している。これは、対北制裁を撤廃し、定期的な韓米連合訓練や米国の戦略資産(兵器システム)を韓半島で展開しないよう米国に求めているものだ。北韓は国際社会で核保有国としての地位を確立し、米国から体制の保障を得ることが最終的な目標だ。北韓にとってプラスになるならば、終戦宣言の議論も辞さないという構えだ。
終戦宣言を平和交渉と切り離して北韓の非核化を促進するというやり方は、現実的に多くの危険を伴い、限界がある。終戦を宣言するならば、いくつかの”必要十分条件”を備える必要がある。
最低限の条件として北韓が完全に非核化し、南北が一体となって相互敵対行為を永久的に中断するなど、韓半島での軍事的緊張を解消しなければならない。さらに、終戦宣言は停戦協定に代えられるものではない。終戦宣言を発出しても、平和協定へと転換するまでは現在の停戦体制が遵守される必要がある。
終戦宣言を推進する場合、6・25韓国戦争に対する責任の糾明が必要だ。戦犯の処罰や被害賠償などといった戦後処理が伴わなければならない。韓国戦争がなぜ勃発したのか、戦犯が誰なのかという点について明らかにしなければならない。少なくとも、開戦当事者として北韓が歴史の前に真摯な反省と謝罪を表明するのが先決だ。

■非核化が前提の終戦宣言
外交専門家 李度勲(元外交部韓半島平和交渉本部本部長)

金正恩は金日成、金正日とは異なり、核開発を露骨に推し進めてきた。常に含みを残していた先代とは異なり、金正恩は2011年12月17日の権力承継以降、核開発に邁進した。
金正恩の最高責任者就任から10年間、北韓の核開発は大きく三つのフェーズで進められてきた。12~17年は核による武力を確立させた時期だ。この期間は4回にわたる核実験、ICBM級の長距離ミサイルを発射した。18~19年は挑発的核開発を暫定的に中断した時期だ。当時は米国とのハノイ首脳会談で”部分的非核化”を掲げ、制裁緩和を求めた。しかし、ハノイ会談は決裂した。会談決裂後は韓国を射程圏内に収めた短距離ミサイルの開発に注力した。空港破壊用のKN24や超大型放射砲KN25をはじめ、SLBM、巡航ミサイルなど、挑発の手段を多様化させた。
北韓の核兵器開発は現在進行形だ。金正恩が18年の年頭挨拶で述べた「核弾頭と弾道ロケットの大量生産」という教示も未だ継続しており、21年1月と10月に行われた党大会と国防発展展覧会でも核開発を持続する意志を表明した。その結果、北韓の保有する核弾道の数は45基から60基、最大では116基に達するものと推定されている。
金正恩は19年2月のハノイ会談で、寧辺の核施設廃棄と引き換えに制裁解除を米国に求めた。遮断されている資金源の解除を要求した形だ。もし解除された場合、数十億ドルから100億ドルが北韓へと流入することになり、交渉の必要性を失うことにつながりかねない。トランプ大統領(当時)はハノイで、非核化の最終形態(endstate)合意を求めたが、北韓はそれを受け入れなかった。
現在は交渉の条件が極めて悪化している状態だ。北韓は対話再開の条件に敵視政策の撤廃を掲げ、長期戦の体制に突入している。米国と中国は戦略的競争に突入しており、北韓問題は二の次となっている。
しかし近い将来、北韓は再び交渉のテーブルに就くのではないだろうか。北韓内部の経済状況が日ごとに悪化しており、いくら唯一領導(指導)体制だとしても体制の安定性を危惧せざるを得ない状況にあるはずだ。やがて行き詰まり、最終的には交渉のテーブルに就くことになるだろう。ただし、北韓は非核化措置交渉から核軍縮交渉への変転を目論むことが考えられる。

Q 非核化に進展のない状態で終戦宣言が行われたら。


文在寅政府は、終戦宣言が行われれば、これに従って非核化へ向かうものと認識している。米国は、非核化ありきで終戦宣言が発出されるべきだと考えている。北韓は金与正談話(21年9・24)の中で終戦宣言に対し、現在の不安定な韓半島の停戦体制を物理的に終わらせると述べた。この北韓の表現が文政府の「終戦」と認識を等しくしているかは不明だ。あくまでも私見であるが、終戦宣言は多くの国民の同意に基づいて行われるべきだ。もちろん、政治的に終戦宣言を発出するのであれば、北韓の非核化ありきで進められなくてはならない。

 

2022-01-01 10面
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