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2020年05月20日 00:00
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韓国スローフード探訪33 薬食同源は風土とともに
初夏の聞慶で飲んだ爽やかなオミジャ茶

 木立の緑も日々、色濃くなり夏の到来を伝えている。ステイホームが続く中、おうちご飯、おうちカフェを楽しむことが多くなり今年初めての真夏日となった今日は、ソウルの友人からいただいたオミジャ(朝鮮五味子)茶を冷たい水で割り、松の実を浮かばせベランダカフェを楽しんだ。
20年ほど前に初めて聞慶にある嶺南窯を訪れた。当時は高速道路がようやく整備されたばかりという時代だった。訪れたのは初夏のころ。自宅兼工房の前には大きな登り窯があり、その周囲には田植えを終えたばかりの水田が広がっていた。小鳥のさえずりが聞こえる静かで穏やかな時間がゆっくりと流れ、たまに通る車のエンジン音が現実味を伝えているぐらい。窯を見せていただいていると窯元の奥様がやってきて「さっぱりするから飲んで」と、自家製のオミジャ茶を白磁の器に注ぎ勧めてくれた。
自家製のオミジャ(朝鮮五味子)茶
 オミジャは甘い・辛い・酸っぱい・苦い・鹹い(塩からい)の5つの味があるといわれる朝鮮五味子の実。マツブサ科(以前はモクレン科とされていたことも)の蔓性植物で、秋になると房状に赤い実をつける。ビタミンCを多く含み、昔から乾燥させ生薬として咳止めなどに使われている。
蜂蜜を加えたという自家製のオミジャ茶は酸味とほのかな甘みがあって、爽快感が一瞬にして全身に広がるようだった。一気に飲み干してしまうと「どうぞ、どうぞ。沢山あるから」と。二杯目をいただき「オミジャはどこで採れるのですか?」と尋ねると「これはこの辺りで採れたもので。他のところでも採れるのかもしれないけど質の良さは聞慶のものが韓国で一番といわれていて」と。その時、初めて聞慶はオミジャの産地ということを知った。「秋に来るといいですよ。赤い実をつけた様子もきれいなので」と、嶺南窯の金正玉先生が続けた。そして、「自然環境がいいというか空気がいいというか、昔から険しい峠のある聞慶を越えないとソウルへ行けなかったから、人間には厳しいことも草木にはとても良いことなのでしょう。父の後を継いで陶芸家としてこの地で続けられたのも、空気の良さと水の良さがあってこそ。オミジャも同じだと思いますね。父は技術的なことも教えてくれましたが、自然への感謝をいつもするようにと教えられましたね。オミジャも自然からの贈り物ですから大事にいただくようにしています」と話してくれた。その後、何度か嶺南窯を訪れているのだが、なかなか真っ赤な実をつけた状態を見ることはできずにいる。
汗ばむ季節になると韓国へ出かけて冷たいオミジャ茶を飲みたくなる。真夏には、スイカや梨を浮かべたオミジャ花菜も。爽やかな酸味と甘味、それに季節の果物が何とも涼やかで美しい。
オミジャ茶をはじめ韓国の伝統茶には実に多くの種類がある。これらの材料は穀物・植物果実で、その多くは「漢方材」として使われている。初めのころは「伝統茶=漢方茶ではないのか?」と思ったものだが、2002年に韓国伝統飲食研究所の尹淑子先生から伝統菓子とお茶の指導を受け学んでいくうちに、これぞ「薬食同源」のお手本と思えるようになった。
常日頃から身体にいいものをいただく。どの飲み物もそれぞれに良さはある。ただ、免疫力を少しずつ高めるには食事とともに何気なく飲むお茶もこだわってみたい。そう思うようになってから高麗人参茶やナツメ茶、オミジャ茶、生姜茶などを飲むことが多くなった。
コロナ感染防止で自粛生活が続く中、自宅で楽しむ伝統茶のやさしい力も、きっと健康維持につながっているはず。

新見寿美江 編集者。著書に『韓国陶磁器めぐり』『韓国食めぐり』(JTB刊)などがある。

2020-05-20 5面
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