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2019年07月10日 00:00
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韓国スローフード探訪17 鎮海の海辺で味わうアナゴの白焼
新見工房代表 新見 寿美江


アナゴ漁をしている湾
 アナゴ料理といえば、寿司や天ぷら、蒲焼を思い浮かべる。栄養価も高くEPA、DHA、タンパク質、ビタミンA・E、カルシウムと、暑さが続く夏にはもってこいの食材。
釜山から西へ向かった慶尚南道鎮海市にアナゴ専門店があるという。「日本でもアナゴを食べていると思うけど、韓国式で食べてみて」と、釜山に住む友人からの電話。聞いているうちに食べ方が気になり、早々に釜山へ。そこからは車で向かった。
海辺の街・鎮海は桜並木や軍港で知られ、鎮海湾に面した高台には海軍士官学校があり、目指すアナゴ料理の店は市の中心地から離れ、くねくねと山道を進んだかと思うと、今度は海岸淵まで下っていく。店はおろか、民家すらない。友人のドライブテクニックもなかなかのもの。おばさんとは思えないほどだと感心していると「ここだよ」と、アナゴが泳ぐ大きな水槽がある店の前で車を止めた。だが、蒲焼のような匂いはしていない。
そこに店の女将さんらしき人がやってきて、「先に浜へ行ってみて」と友人に話している。どうやら、日本からやってきた客人に、アナゴ漁をしているところを見せてやってはどうかということのようだ。車で店から浜へと降りてみると、アナゴ漁を終えた漁師さんたちが船を係留しているところだった。
静かな湾に何隻かの船があり、獲ったばかりのアナゴの多くは釜山など、その日のうちに出荷されるという。漁師さんの一人と友人が話し始めている。どうやら店の女将さんのご主人のようだ。「うちの店は、ここで獲ったアナゴを出すからどこで食べるよりも旨いよ」と。
高台の店へ戻ると、平日にもかかわらず店内は満席。「えっ、網焼き。それも白焼」。見回してみると、女性のグループが目立っていた。アナゴを焼く人、食べる人、焼酎を交わし、女子会のような雰囲気を眺めながら、食べ方はサム(葉物野菜に巻いて食べること)にするのだとわかった。
こんがりと焼けて美味しそうなアナゴ
 そうこうしているうちに、店の女将さんから「あまり焼き過ぎないように。こうして返して」と教えられ、アナゴに火が通るのをひっくり返しながら待っていると、何とも淡泊ないい匂いが鼻先を刺激してくる。アナゴが丸くそり出し、こんがりとした焼き色がついてきた。よさそうなところからアナゴを葉物野菜にとり、ヤンニョムをちょいと付けクルリと巻いて口に運んだ。香ばしさと淡泊な味のアナゴに、コチュジャンの力でピリ辛感とまろやかさが加わり絶妙な旨さ。さらに友人の食べ方を真似て、葉物野菜にキムチやナムルなどのおかずを加えたり、ニンニクを焼いて加えたりと楽しんだ。
新鮮さは言うまでもない。アナゴの良し悪しを見極め上質の物を提供してくれているのだろう。栄養価の高いアナゴを一層バランスの良いものにしているのが、コチュジャンと葉物野菜。コチュジャンの持つ殺菌作用や抗酸化作用と生野菜の力は、夏バテ解消にも最高のもの。さまざまな小皿料理(バンチャン)とともにいただいたアナゴの白焼は、食べながらにしてパワーが出てきた。
新見寿美江 編集者。著書に『韓国陶磁器めぐり』『韓国食めぐり』(JTB刊)などがある。

2019-07-10 5面
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