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2019年02月27日 07:55
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米国に挑んだ大統領(13)カーター体制への対抗、10月維新
李春根・国家戦略フォーラム研究委員

 このような事実を総体的に解決するための朴正熙の試みが、1972年10月17日に断行された「10月維新」という体制強化方案だった。もちろん、10月維新は朴正熙の権力を大幅に強化した。朴正熙は任期制限がなくなり、強大な独裁権力を振るえるようになった。
このような独裁化に対し、釈明できる国際政治的な根拠は多くあった。国家安保を最高の目標として進めた朴正熙とその追従勢力にとって、「10月維新」は英断であると賞賛された。
ところが、道徳主義を外交政策に標榜して米国大統領に当選したカーターにとって、朴正熙独裁政権は目の上のたんこぶだった。
かねてから朴正熙に対して否定的な見方をしていたカーターは、大統領選挙運動中「大韓民国から駐韓米軍を完全撤収する」という公約を打ち出した。
カーターは、朴正熙の独裁を断罪するため撤退カードを取り出したつもりかもしれないが、カーターの完全撤退政策は、米国の駐韓米軍の撤収および減軍政策に嫌気がさした朴正熙の独裁体制をさらに強化させるという逆効果を生んだ。

国際政治体制の変化に対する朴正熙の対応「10月維新」

「10月維新」は、韓米関係が根本的な変化を起こした国際政治状況下で断行された。事実、当時の国際政治状況は、10月維新を正当化させる根拠として使われた。
米国はニクソン・ドクトリン(69年)を通じて「アジアの防衛はアジア人の手で」というスローガンの下、アジアに対する防衛介入を縮小させていた。米国は、中国を米国の側に引き込むために、中国周辺の米軍事力を削減、あるいは撤収させることで、中国の安保負担を減らす措置を取った。中国は米国と和解することで、より頭痛の種だった宿敵ソ連との対決にすべての精力を傾けることができるようになった。米国は中国との和解のため、ベトナム戦争の途中、突然ベトナムから手を引く措置も取った。
米国のこのような措置は、中国の周辺の韓国、日本などに、もはや米国の安保支援だけを信じていては大変だという焦燥感を抱かせた。米国と中国の和解は、大韓民国の体制だけでなく、北韓体制も一層強固にした。韓国が「10月維新」を通じて独裁体制を強化したように、北韓も72年の社会主義憲法の改正を通じて金日成独裁体制を大幅に強化する措置を取った。米国と中国が信じられなくなった韓国と北韓は、自ら体制を大幅に強化した。事実、米国と中国は72年、南北韓の体制が強固なものになる背後の勢力であった。
米国は、終身統治体制に向かう朴正熙を阻止するか、それとも韓国に対する安保介入を続けるかのどちらかを選択せねばならないジレンマに直面した。ベトナムから手を引くことで中国と和解し、その中国を対ソ戦略に参加させようとした米国は75年4月30日、ベトナムが共産主義で統一されていることを放置することができた。ベトナムが赤化されるのを見た朴正熙は、2年半前に断行した「維新体制」が正しいことだったと確信したはずだ。多くの韓国人が72年10月の維新体制成立を支持するようになった。
その頃、大学生だった筆者は、指導教授である李基澤教授が「中国首相・周恩来が、ニクソンの駐韓米軍撤収政策が過激だと考え、駐韓米軍の撤収をむしろゆっくり履行すべきだと注文した」という事実を教えてくれたことを憶えている。韓半島が急激に不安定になり、戦争が勃発するのは中国にとっても望ましくなかったためだ。それで米国と中国はそれぞれ韓国と北韓の体制をさらに強固なものにすることで、韓半島を「安定化」させる方策を講じることになる。
しかし韓国では10月維新、北韓では社会主義憲法改正による金日成体制の大幅強化という形で現れたのだ。このような分析は、当時の韓半島の状況を現実主義の国際政治学に基づいて説明した模範的な分析だ。
ところが、国際政治を現実主義や国家利益の観点から見ずに道徳的基準をもって判断するカーターにとって、大韓民国の維新体制と朴正熙政権は、放置できる問題でなかった。米国は独裁政治をほしいままにし、人権を蹂躙する大韓民国の朴正熙政権を支援するわけにはいかず、そのため駐韓米軍を全面撤収させるべきだというのがカーターの選挙公約だった。
(つづく)

2019-02-27 4面
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