米中戦争が始まった以上、中国共産党が面倒を見てくれた金王朝の運命はもう終わった。それでも朝総連には、金正恩が米国とやりあえると錯覚する人々が少なくないようだ。もちろん、文在寅と主思派が金正恩を庇い続けている。つまり、問題は平壤と組んだ韓国の主思派なのだ。
いずれにせよ、金正恩は人民生活や経済の拡大再生産と無関係な建設事業ばかり督励している。韓国の支援を期待しているのだろうか。ただし、首領体制を支える北の労働階級は、限りなく搾取されている。つまり労働者階級は奴隷だ。
最近、韓国で朝鮮王朝時代に、奴隷身分の民が最大40%に達したという研究結果が発表された。特にそこまで奴隷が増えるよう法制度を作った王が世宗大王という。
ところで、この朝鮮王朝が復活したのが北韓だ。北は全人民が首領のための総爆弾になれと洗脳する。主人のため命を捧げるが奴隷だ。
朝総連が最近、民団工作を強化しているが、首領が支配する世の中がどんなものかを紹介しよう。韓国で脱北者たちが伝えた「身分世襲制度を強化することについて」という労働党組織指導部の指示を見よう。
元々北は出身成分が最も重要だ。「身分世襲制度」は70年間変わらなかった。以前は、お金や賄賂があれば解決できたのに、今年に入り変わったという。身分世襲の枠を抜けるの非常に困難になったのだ。
党組織指導部が今年に入って三回目も指示し、身分世襲を避ける者らを徹底して処罰するという。北では、高等中学校(日本や韓国の高校)を卒業すると17歳で、卒業生から軍服務する新入兵士を選抜する。軍へ入隊しない生徒の中で成績優秀な者は、大学入試を、そうでない者は、各地域の人民委員会労働部に行かねばならない。
軍隊に行かなかった学生らは、人民委員会の労働部が社会的職業を決める。人民委員会労働部がお前はどこの工場に行け、お前はどの協同農場に行け、と無条件配置する。当事者は、選択権がなく、労働部が決めた職業を持つようになる。
以前は、人民委員会が高等学校卒業生たちを、政策的必要によって特定の職場に集中配置したこともあった。だが、今はそういう集団配置はしない。
党組織指導部は今年1月と6月にも道人民委員会の労働部に出身成分に基づき職場を配置、身分世襲制の強化を重ね指示し、8月までに無条件執行し結果をを報告せよとした。
北で「出身成分」とは、個人が生まれたとき、親が持っていた職業を指すもので、「社会成分」とは、個人が、高校を卒業して初めて、社会に進出する際に持つようになる職業をいう。つまり、北ですべての人民は2つの成分を持つ。個人が生まれたとき、親の職業、正確には父の職業だ。父が労働者なら出身成分は労働者で、父が党幹部だったら出身成分は党幹部だ。
「身分世襲」とは出身成分によって職業を配置することで、結局個人が生まれたとき、父親の職業を継承せよ、子は親の職業を必ず世襲せねばならないということだ。
ただし、親の職業を世襲する時期、つまり身分世襲の年齢は個人の状況によって異なる。軍事服務をしたり、大学に入学できなかったらその時から、親の身分を世襲せねばならない。軍事服務をする場合は、軍事服務を終えた後、初めての職業として父の身分を相続する。
高校卒業後、大学に入学しても、特例入学の場合を除いて、無条件出身成分によって大学も決まる。出身成分が農民なら、農業と関連した大学、出身成分が医師なら医学大学、といったかたちで大学も決まる。父が農民だったら農業大学に行かねばならない。軍服務後も出身成分によって配置されねばならない。
制度どおりできない場合を特殊身分という。父がスパイだったとして高校卒業後すぐスパイになれない。実際に今年の8月まで身分世襲結果を中央に報告せよとの指示が正しく執行されず下部単位で混乱が起きたという。
北では「難しくてきつい部門」の出身成分の女性と結婚した40歳未満の男性は皆、妻の出身成分を世襲する。農民の娘と結婚をしたら協同農場だ。
では、こういう身分世襲の中、幹部らはどこから選ぶのか。それは簡単だ。軍服務する兵士たちの中から出身成分が良い人は、事前に大学に入学させる。北で軍事服務は満10年だが、軍事服務中の大学入学資格を取れば25歳で大学受験させる。幹部として養成されるのだ。 (つづく) |