「ロウソク民衆革命」で誕生した文在寅政権で、韓国の法治は死んだ。朴槿惠大統領に対する弾劾をはじめ、いわゆる「積弊清算」という名の粛清、つまり人民裁判や魔女裁判で、法治の基本である罪刑法定主義と証拠主義は無視されている。
法院は、裁判の前に、権力の走狗となった検察が請求する拘束令状をほとんど発行する。主に右翼人士に対するものだ。韓国の憲法体系に挑戦する左翼に対しては逮捕状も請求されず、裁判も寛大に行われる。
韓国の司法府は全体主義体制への転換の道具となった。韓国は司法による赤化への道に入った。司法を赤化工作の道具化する先鋒が金命洙大法院長だ。
この金命洙が7月2日、文大統領に、来月退任する3人の大法官(最高裁判所の裁判官)の後任として金善洙弁護士、李東遠済州地方法院長、盧貞姫法院図書館長を指名し提請した。3人のうち2人は、政治的に非常に偏った人だ。大法院は、司法の独立と政治的中立性を守る砦。大法院の構成の多様性を尊重しても、政治的に非常に偏った人士の指名は許されない。
金善洙指名者は1988年、スイスのジュネーブへ行き、国連人権委員会に国家保安法の廃止を訴えた。彼は主に反国家勢力を弁護した。北の労働党の指令を受けて暗躍した旺載山スパイ団事件(2011年7月に摘発)の弁護人だった。特に違憲政党として憲法裁判所が解散決定(2014年12月)を下した統進党の弁護人団団長を務めた。
彼は文在寅の大統領候補法律支援団の一員だった。彼は盧武鉉政権のとき文在寅民情首席の下で司法改革担当秘書官として働くなど政治的偏向が強い。
盧貞姫指名者も司法府内の私的組織として物議をかもした「わが法研究会」出身だ。大法官に国民的に批判された特定の政治的集団に所属した者を指名するのは公正さを裏切る行動だ。尤も、金命洙大法院長自身も「わが法研究会」出身だ。
文在寅が金命洙を任命したのは司法掌握のための布石だった。金命洙の政治的偏向は、彼が春川地方法院長のとき、江原道選挙管理委員長として、検事の不起訴意見を押し切って、金鎮台議員を選挙法違反として職権起訴、罰金200万ウォンの当選無効刑を言い渡したことで証明された。
だが、金鎮台議員は、金命洙が大法院長になった後、大法院で無罪が確定した。正常人なら自分が1審で無理に有罪を宣告した事件が、大法院で無罪となったら引退する。
さらに、金命洙は、大法官全員の反対にもかかわらず、「左傾判事のブラックリスト」だの「裁判取引」だのという紅衛兵事件を作って、自分の前任者(梁承泰)と大法院を検察が捜査するよう誘導した張本人だ。
今、文在寅政権の全体主義独裁を支えるのが扇動メディアだ。この左翼扇動メディアは従北左派の示威や反日・反米は熱心に報道する。しかし、太極旗集会は徹底して無視する。2016年12月から毎週末に数万人が集まる反全体主義、文在寅退陣要求は全く報道しない。
大勢の国民が昨年の大統領補欠選挙などで使用された電子開票機による選挙不正を信じている。だが、法院が管轄する選挙管理委員会や当局は、選挙不正の告発事件で、原告の国民たちの告発について解明もしない。自ら非を認めているのだ。
文在寅政権は今、法治で政府を運営するのではなく、主思派・全大協が掌握した青瓦台の首席補佐官体制で国政を運営している。全大協実権派の決定を文在寅の「言葉」で執行する。
韓国民が今見ているのは、単なる政治社会的葛藤ではなく、体制変革を目指す政変が続いているのを見ている。今、常識人たちは法治が期待できない韓国の現実に絶望しているのだ。
多くの韓国人が、主思派が執権しても、韓国は滅びないと楽観している。韓国は今、自体浄化や回復・正常化は望めない。だが、国際秩序の中で生きている。文明史的変革が起きれば韓国も蘇る。諦めてはならない。 |