金正恩が慌ただしく動いた。文在寅政権を首領独裁体制の維持、延長に活用するため直接乗り出したためだ。ここ3カ月間、習近平、文在寅、トランプ大統領に会うため、中国、板門店、シンガポールを訪問した。自分の命運のかかった問題であるため、直接乗り出さざるを得ず、妹の金与正をはじめ、書記室の側近たち、党の宣伝扇動部や統戦部を総動員した。日程が忙しかったため列車へのこだわりを諦め、飛行機を利用することになった。
北側は、終戦と平和協定を全面に打ち出したが、対南担当の党副委員長(対南秘書)の金英哲と統戦部が主役となったのは、平壤側の真の狙いが首領独裁体制の維持と韓半島の赤化統一であることを物語る。トランプ大統領に親書を伝えたのも党統一戦線部長を兼ねる金英哲だった。
シンガポール政府が1200万ドルを負担して、セントサ島で行われた米朝首脳会談に対し、北側は「ディール(取引)」ではなく、米国との対決を清算するためだったと宣伝する。だが、金正恩がシンガポールでの会談に応じたのは、42分間の記録映画が欲しかったためだ。
北側の平和攻勢が執拗だ。平壌側は米国に終戦宣言を要求している。中国共産党も平壌の肩を持ち、米国に終戦と平和協定を要求する。終戦と平和協定を締結するためには戦犯の処罰など、戦争責任の処理と戦争被害に対する補償が解決されねばならない。特に、金日成が殺害し大量拉致した戦時拉致者の原状回復が必要だ。しかし、戦犯である北側と中国は、これらの問題には全く触れていない。本当に図々しいやつらだ。
朝総連も平壌の指示に従って、6・25南侵戦争の終戦宣言要求キャンペーンを展開している。今年で68周年である6・25南侵戦争は、金日成がスターリンの全面支援と毛沢東の参戦約束を当てにして起こした同族虐殺戦争だ。去る70年間、同族700万の死に責任のある金氏王朝と中国は本当に卑劣な集団だ。彼らが宣戦布告なしに奇襲南侵しては、韓米が北侵したと今も主張している。
習近平は副主席のときの2010年10月25日、中国軍の韓半島侵略60周年記念行事で、「抗米援朝戦争」は、平和を護り侵略に立ち向かった正義の戦争だったと言い放った。この一言が、中国共産党の本質と彼ら世界観を示す。平然と嘘を言う者とは善隣友好は不可能だ。
ボルシェビキ革命以来、共産党独裁の嘘と暴力、侵略根性は変わっていない。中国共産党の侵略や膨張主義は建国(1949年)当初から確認される。毛沢東は建国と同時にチベット、内モンゴル、新疆ウィグルを侵略し占領した。建国1年後、スターリンと金日成に言われて、韓半島を侵略、米国と戦った。毛沢東は金日成に、朝鮮人で構成された4個師団の兵力を提供して同族を討つ先鋒に立たせた。毛沢東は国共内戦で捕虜になった国民党軍出身を韓半島の戦場で消耗品として使った。
中華主義と共産党一党独裁の暴力装置が結合された中国の野蛮さは、中国が周辺諸国と起こしている摩擦や特に、東南アジア諸国と紛争、南シナ海での海賊同然の行動を持ても分かる。
史実を平然と否定・捏造し、国際法よりも軍事力に訴える中国が国連安保理の常任理事国である事実が、国際社会の不安要因でかつ悲劇だ。中国が韓半島に領土的野心を持ち、核兵器を持つ北韓を庇護するのが大韓民国の最大の安保脅威だ。
嘘と憎悪と卑劣さを本質とする体制とは平和的な友好関係ができない。彼らとの対話と合意(約束)は無意味だ。それで抑止力が必要だ。
金正恩と習近平は、韓米同盟に対して、彼らへの敵対的装置を除去し脅威行動の中止を要求している。だが、そうするためには、彼らも核兵器はもちろん、首領独裁と唯一思想体系、そして共産党も解体せねばならない。朝総連は6・25南侵戦争のとき金日成が失敗したことを悔しがっている。要するに、韓半島が中国の影響の下、金正恩の支配を受けることを望むのだ。6・25南侵戦争を祖国解放戦争と呼ぶ限り、朝総連は大韓民国の敵、自由の敵だ。
大韓民国国民は、平壌の金氏王朝と共産党独裁の中国に復讐の権利と義務がある。侵略戦争の戦犯である奴らの平和攻勢を支持する者も大韓民国の敵で、復讐の対象だ。
6・25南侵戦争の結果の「1953年体制=停戦体制」は遠からず終わる。その結果は、どちらか一方が相手を吸収、征服する形になるしかない。朝総連は選択せねばならない。全体主義社会で生きるか、自由社会で生きるのかを。 (つづく) |