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2017年10月18日 00:00
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朝総連衰亡史(57) 金正恩の祝電、日本語の紙面では短信扱い 

 前回のわが民族同士の「有無相通ず」の話をもう少し話そう。元々北韓は、金日成の抗日パルチザン伝統を強調する国家だ。パルチザンこそ日常生活の中で「有無相通ず」を実践する集団だ。南北関係で平壌側は、いつも「有無相通ず」を強調してきた。南に対してだけはなく、在日同胞にもだ。

この略奪精神が体質となり、伝統となってしまった「主体の国」は、他人の富は無料で要求しながら、自分のものは絶対に分けて使おうとしない。

韓半島は南北ともに水不足地域だ。北韓の慢性的な電力難は構造的なもので、水力発電は水不足のため、火力発電は生産した石炭の輸送が円滑でないためだ。


季節的な制約は大きいが、北は結局、水力発電所に期待するしかない。水資源が豊富だった北韓が、水不足になったのは、首領の指示で段々畑を作り、森林を伐採したからだ。この実像は、平壌側が「苦難の行軍」を描いた有名な映画『慈江道の人々』で率直に認めている。


人口が北の2倍以上の韓国も、水資源の不足は深刻で、特に、全人口の40%が集中する首都圏の水事情は深刻化しつつある。北側はこのほど、韓国の首都圏に流れていた北漢江水系の水を止めた。北側は北漢江上流の年間18億トン程度の貴重な水を、流域変更式の発電と言い、東海(日本海)に流す。この貴重な水を南に売っても良いのに、彼らは韓国への水攻めには水を使っても、首都圏の同族に流すつもりはない。


世界各国が水の管理に精を出している今日、韓国も水資源公社が八堂ダムの水を売っている。1トン50ウォンで計算すれば、18億トンで900億ウォンになるのに、外貨不足の「首領」は、この貴重な水を捨てている。これが「わが民族同士」の「有無相通ず」の正体だ。それどころか、機会さえあれば「ソウル火の海」を叫ぶ。


平壌と朝総連の媒体を見れば笑うしかないスローガンが多いが、最近登場したスローガンは傑作だ。「世界を驚嘆させる万里馬速度!」あの「千里馬」が「万里馬」になったのだ。一日に4000キロだ。だが、万里馬の祖国で、なぜ平壌から北東端の羅津までの781キロが、列車で2、3日かかるのか。2日で781キロなら時速16キロ、3日なら時速11キロ程度だ。列車とはいえまい。


平壌と北京やモスクワを結ぶ国際列車は少し速いというが、どう説明しても、北の国内が差別されていることがわかる。人民経済の情報化が国家戦略に基づいて推進され、日本を攻撃するのに10分もかからない弾道弾や先端ミサイルを作れる金正恩は、人民が国内を781キロ移動するのに、なぜ2、3日も費やさせるのか。


スローガンが過激になるほど、その体制は正常に機能しない。平壌側は7日、労働党第7期第2次総会を開催し、金正恩の妹・金与正を政治局候補委員に選出したと発表した。崔龍海と金与正などが、万里馬速度でどれほど走るのか楽しみだ。


朝総連は「祖国を保衛し総組織を最後まで護り抜こう」と、虐殺者の金正恩の声明(9月22日付)を支持する集会を開いた。ところが、金正恩を最後まで守ると誓えば、朝総連組織と重要メンバーたちも、国連安保理の制裁対象のリストに載ることになるかもしれない。制裁対象になれば、国際的に監視・追跡対象になる。


金正恩が、女性同盟結成70周年中央大会に祝電を送ってきたという。朝鮮新報は大々的に報道した。面白いのは、首領が祝電を送ってきたことを、朝鮮新報16日付は1面全面で紹介したが、8面の日本語記事では、下段に「フラッシュ・ニュース」として簡単に紹介するにとどまっていることだ。日本語の記事は、「大会ではまず、金正恩委員長が大会に寄せた祝電を許宗萬議長が朗読した。あいさつに立った許宗萬議長は、同盟組織の結成記念日に際して金正恩委員長が祝電を寄せたのは総連の中でも唯一、女性同盟だけだと強調。(中略)続いて、報告を行った姜秋蓮委員長は(中略)金正恩委員長が寄せてくれた祝電は、在日朝鮮女性運動の新たな全盛期を切り拓くうえで綱領的指針になるとし、祝電で示された課題を貫徹して新たな飛躍と革新を成し遂げようと呼びかけた」要するに、1面で大々的に報じた金正恩の祝電は、たいしたことでないという意味だ。8面トップの金剛山歌劇団の函館公演記事の4分の1程度の扱いだった。

朝鮮商工新聞には金正恩の祝電の記事はなかった。ここで気になるのは、姜秋蓮女性同盟中央委員長が、女盟員が3万人だと明らかにしたことだ。(つづく)

2017-10-18 4面
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