ログイン 新規登録
最終更新日: 2024-11-19 12:39:03
Untitled Document
ホーム > 連載
2017年02月01日 23:15
文字サイズ 記事をメールする 印刷 ニューススクラップ
 
 
高麗青磁への情熱-81-
求婚(一五)

 日本人巡査は誰彼となく「おまえ、日本語わかるか?」と訊いた。しかし、そのたびに皆「わからんです」の返事だった。このとき、向かい側から眺めていた梅子が、いたたまれなくなって、前に出てきた。私が口を押さえて、何も言うなという合図を送り、さらに、あっちへ行けと手振りで示した。彼女はすぐに気づいて、にこっと笑うと向こうに去っていった。
 とうとう、いわば通訳が現れた。うまくはないが、だいたいのところはわかるという男だった。
「この二人が喧嘩したんだが、一体何なのか訊いてやってくれ」
男が私に訊く。
「どうして喧嘩になったのですか?」
「あの向こうに黄金遊園があるでしょう? あそこでぼくがブランコに乗っていると、この人が急に走ってきて、下駄でぼくの尻を殴りつけるじゃないですか。人間、感情の動物、訳もなしに殴られて黙っている者がいますか? それで、ブランコから降りてこの人の向こう脛を足で蹴ったんです。この人が何度も下駄を振りあげてかかってくるんで、こんどはその下駄を取りあげて垣根の外に放り投げてやったんです。すると、この人が派出所に行こうって言い出したもので、こうしてやってきたってわけです」
その人は私の話を聞き終わると、こんどは日本人巡査に向き直った。
日本人巡査は通訳ができたことで嬉しくなって話の続きを待った。
「あのファングムユウォンがあるでしょう?」
「ファングムユウォンが何かね?」
と聞き返し、集まってきた人たちの方を眺めた。その中の一人が「黄金遊園です」と口をはさんだ。
「それから?」
「それから、この人がブランコに乗って、ワッタリカッタリしたです……」
「ワッタリカッタリが何かね?」
その人は、ブランコに乗って行ったり来たりする真似をしてみせた。
「わかった、わかった。この人がブランコに乗って、あっち行ったり、こっち来たりしたんだろう。それから?」
その人はこんどは日本人の方を指して言った。
「それから、あの人が下駄でこの人の尻を殴ったです」
こんどは日本人巡査も、何のことかわかった様子だった。
「あ、そうか。あの人が下駄を持ってこの人の尻っぽをボコンと殴った。そうだね?」
「ええ、そうです。それからまた、この人が殴られて腹が立って、下駄を取って、さっと投げ捨てたんです」
「あ、そうか。わかった。叩かれて、癪に障ったから下駄を取ってピーンと投げた。そうだね?」

2017-02-01 6面
 
高麗青磁への情熱-80-
뉴스스크랩하기
連載セクション一覧へ
金永會の万葉集イヤギ 第30回
写真で振り返る2024年「四天王寺ワ...
李在明・共に民主党に1審有罪
北韓軍派兵に韓国は様子見モード
トランプ氏再選で変わる世界
ブログ記事
マイナンバーそのものの廃止を
精神論〔1758年〕 第三部 第28章 北方諸民族の征服について
精神論〔1758年〕 第三部 第27章 上に確立された諸原理と諸事実との関係について
フッサール「デカルト的省察」(1931)
リベラルかネオリベか
自由統一
北朝鮮人権映画祭実行委が上映とトーク
金正恩氏の権威強化進む
北韓が新たな韓日分断策
趙成允氏へ「木蓮章」伝授式
コラム 北韓の「スパイ天国」という惨状


Copyright ⓒ OneKorea Daily News All rights reserved ONEKOREANEWS.net
会社沿革 会員規約 お問合せ お知らせ

当社は特定宗教団体とは一切関係ありません