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2016年10月26日 19:22
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朝総連衰亡史(18)
労働党3号庁舎と一体となった朝総連組織

 前回の辛光洙の例で見たとおり、朝総連組織全体は朝鮮労働党の対南工作体系の一部だ。工作機関が工作対象者を物色し、工作員の身分を隠すのは諜報工作の基本だ。朝総連は労働党の対南・対日工作の端緒を提供・保証する宝庫だ。
朝総連系に属する同胞は、あらゆる個人情報を組織に収集され、平壤に報告される。党員(朝総連の場合は学習組員)になるためには、個人の身上を自叙伝の形で詳細に記述せねばならない。この過程で出身成分が徹底的にチェックされる。家族や親戚関係も詳しく書く。
労働党(共産党)に入党すれば永遠に党の管理下に入る。入党すると、その記録は党中央委員会組織指導部の党員管理課をはじめ、関連するあらゆる機関・組織で保管・管理される。この内容は当然、党の工作部署も共有・活用する。この党員の身上資料が対南工作やテロ工作にどう使われるのかを、日本と韓国を舞台に活動した大物工作員の例で見る。
韓国の国家安全企画部は1992年10月6日、「南韓朝鮮労働党中部地域党」スパイ事件を発表した。すでに北に逃走した李善実に包摂された黄仁五を総責とするこの地下組織は、江原道党、忠北道党、忠南道党、編集局などで構成され、ソウル、仁川など24市の46企業・団体など、300人の組織員を有し、民衆党内に孫炳善、金洛中、張琪杓などで地下指導部を構築すた。国家保安法違反で62人が拘束された。
南労党事件以来、最大規模の地下党を組織した李善実は、済州島出身で当時75歳。本名は李花仙といい、済州4・3暴動後に南労党に入党し、6・25戦争勃発直前に越北した。工作員になりたいと金日成に嘆願し、その功績で労働党中央委員、統一戦線部副部長、最高人民会議代議員、労働党政治局候補委員の待遇を受けたが、「深化組事件」で拷問死したという。その後、金正日の指示で復権し、平壌の愛国烈士陵に埋葬された。
李善実は1966年頃には韓国で工作活動を行っていた。1974年には日本に潜入。事前に平壌で自分と似た申順女(元在日の北送者)に会って彼女になりすました。辛光洙が日本人の原敕晁になりすましたのと似ている。申順女は日本に異母弟がおり、韓国には姉がいた。李善実も兄弟が多く、解放前に渡日した弟の李致孝とその子らが日本に住んでいた。李善実は1974年の初めに工作船で日本に潜入、東京荒川に住む土台人(朝総連)の李東春と同居し、大胆にも入管に韓国の馬山から密航してきた申順女と自首、翌年に特別在留許可を得た。
李善実は1978年6月、墓参団で訪韓する。申順女(李善実)が本当に韓国から来たのかを日本当局が韓国側に照会していたら、直ちに正体が明らかになったはずだが、日本は当時、金大中事件の余波で韓国との情報共有をしていなかった。平壌の工作機関と朝総連はこの脆弱性を利用して粗末なアリバイ工作を敢行した。李善実は墓参団で訪韓した後、日本に住んでいる申順女の異母弟の庇護を受け、たびたび全州に住む申順女の姉を訪ねて自分が申順女であると信じ込ませた。
李善実は1979年の春、平壌に帰還して工作の進行状況を点検した後、再度関西に住んでいた弟やその子どもたちの庇護を受け、1980年3月末に申順女として韓国に永住帰国した。李善実は韓国で豊富な資金を使用して10年間で地下党を組織した。南韓朝鮮労働党中部地域党事件の主犯である金洛中は、工作金として210万米ドルを受けて民衆党の工作に使った。
李善実は1990年に平壌へ帰還し、党政治局候補委員の待遇を受けたという。この待遇を受けた工作員には、ドイツで北韓に対する「内在的接近法」を提唱した、フンボルト大学(ベルリン)教授だった宋斗律がいる。黄長燁氏が労働党の上層部だけが知っていた秘密、つまり宋斗律が労働党政治局候補委員のキム・チョルスであるというと、従北勢力と宋は激しく反発した。しかし物的証拠によって、裁判所は宋斗律をキム・チョルスと認めた。
辛光洙事件と李善実事件に共通するのは、北送者や帰化者はもちろん、日本に住んでいる朝総連と関係するすべての人々の身上記録を労働党が工作に活用したことだ。
朝総連の活動家たちはみな、組織に自叙伝を出す。韓国語を学べるという単純な考えで、「民族教育」をさせる朝総連学校に子どもを入れる行為は、子と家族を将来、北韓の工作対象にする結果となりうることを忘れてはならない。(つづく)

2016-10-26 5面
 
朝総連衰亡史(17)
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