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2016年10月13日 09:14
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闇市場に劣る朝鮮労働党
蔡璟橲 総神大キリスト教教育科教授・南門高等中学校(北韓)元教師
北韓には、二つの「党」(ダン)が共存するという言葉がある。一つは、住民に苦痛だけ与える労働党(ノドンダン)であり、もう一つは、住民を生かす闇市場(チャンマダン)という意味だ。北韓住民は当然ながら、配給も渡さずに忠誠だけを強要する労働党よりも闇市場を好む。そのため北韓住民たちは、「市場の方が労働党より強い」と冗談混じりで話すという。  金正恩は今年五月初め、三六年ぶりに開催された党大会でも住民の衣食住解決法案などの民生対策は一つも提示できなかった。一方、党委員長という肩書きだけを一つ追加し、権力独占と専横をしている。また、どれほど多くの北韓住民が犠牲になっても核を持つという意思を露骨にし、ついに9月9日に5回目の核挑発を強行した。  しかし北韓住民は、国際的な孤立と経済難、戦争の恐怖だけをもたらす核よりも物質的豊かさと人間的権利、そして平和をより強く求める。また、住民を取り締まって締め付け、さまざまな行事への強制動員で労働力だけを搾取する労働党よりも、生活必需品を供給し、経済的利益まで保証される市場をより切実に必要とする。金正恩は、北韓住民のごくわずかな支持を得る党委員長ではなく、「闇市場」委員長に生まれ変わるべきだ。  北韓は労働党が1945年10月10日、金日成によって設立されたと主張する。しかし、北韓が宣伝してきた労働党の過去の歴史は、すべて捏造されたものだ。労働党はソ連軍政が権力欲に満ちた金日成を操り人形として作った党であり、設立も10月13日であった。  労働党の前身である朝鮮共産党北韓分局は、1945年10月13日、国内組の共産主義者・金鎔範を初代党首に選出し、結成された。当時、金日成は17人の執行委員の一人にすぎないほど存在感がなかった。ソ連崩壊後の軍政は、曺晩植など民族主義勢力を排除し、光復から4カ月後の45年12月に初めて金日成を党秘書として頂いた。  「リトルスターリン」と呼ばれるほど親ソ主義者であった金日成は、スターリンの威を借ってソ連の傀儡政権を発足させた。そして、朝鮮共産党はもちろん甲山派、南労党派、ソ連派、延安派など、すべての派閥の政敵を粛清した。  政敵を排除した金日成は、勝手に北韓内の権力を独占した後、労働党を私党化し、自らを神格化しはじめた。金日成の〝侍女〟に転落した朝鮮労働党は、金日成・金正日・金正恩につながるアンバランスな3代世襲政権を黙認・幇助。3人の金氏を無欠点の神に変え、今日の北韓を擬似宗教集団として作りあげた。  東欧の社会主義圏が崩壊した1990年代、北韓はいわゆる「ウリ式社会主義」を主張して数百万人の大量餓死者を出すなど、前代未聞の失政を行った。「苦難の行軍」と糊塗された大量餓死は、朝鮮労働党が住民の利益を代弁することなく、金氏一家の長期独裁と贅沢三昧、世襲統治のためだけに機能してきたことを反証する代表的な失策だ。  闇市場は、こうして労働党がまともな役割を果たせないため、北韓住民の要求によって自発的に作られた真の党である。また、北韓の住民すべてが愛用し普及している空間であり、市場経済を学び、資本主義文化に触れる教育の場でもある。特に言論の自由がない北韓において、市場は住民の自由な意思疎通をかなえ、不満を吐き出す空間となっている。  市場の威力を悟った金正日は、2009年に「貨幣改革」の美名の下、住民のわずかな金まで強奪した。1人あたりの貨幣交換限度を定め、残りお金は紙切れにしてしまうという非常に狡猾な方法で、市場を無くそうとしたのだ。  しかし、市場弾圧や閉鎖などの弥縫策で、世襲独裁政権と労働党に対する北韓住民の不満が収まるはずはない。特に市場を制御するために必死になればなるほど「打倒世襲独裁」や「一党撤廃」などの声が自然発生的に出てくるだろう。そして闇市場は、「北韓号」が沈没する歴史的な瞬間、確実に「起爆剤」として作用するだろう。  闇市場は現在、北韓の住民には欠かせない空気のような存在であり、生命力も無限だ。一方、民生に無関心なうえ、毎年繰り返される洪水被害まで甚大になり、救援物資に頼る金正恩と労働党は、もう居場所がない。  朝鮮労働党は、住民の血の一滴まで絞りとる党設立パーティーを即刻中断し、金氏一族の走狗として機能してきた70年の歴史を痛烈に反省しなければならない。国際社会も北韓の世襲政権と一党独裁の弊害を直視し、北韓住民の生存権保護の次元で、北韓のレジームチェンジと多党制採用、民主的公党の設立などを積極的に支援すべきである。
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