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2016年10月13日 04:58
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朝総連衰亡史(16)
首領と組織に搾取された商工人たち

 週末などを利用して温泉旅館などでKに対する教養が本格的に始まった。講師は自分の身分を明らかにしなかったが、後で社協(在日本朝鮮社会科学者協会)の幹部であることがわかった。この講師と接触するようになってからLは友好的な隣人から「連絡責」に変わった。
夏休みなどでKが本国に帰るたびに、Lは旅費を支援し任務を与えた。初期に付与された任務は難しくないものだった。韓国で容易に入手できる資料を購入してくるよう、というものだった。学習は続き、Kへの要求は次第に高い水準になった。
KはLに出会ったことを、日本に来たことを後悔した。自分が革命戦士になることなど想像もできないことだった。Kは、もはや留学も研修もできなくなったと感じた。去る2年間が悪夢のように感じられた。Kはついに公館員を訪ねて前後の事情を申告し保護を要請した。Kはやっと悪夢から解放された。
韓国で大学に入学してから東京に留学にきた女子大生のLは、活発な性格ではなかった。彼女は寂しい留学生活を克服しようと留学生会の行事に顔を出した。そんなLにハンサムな同胞青年たちが近づいてきた。彼らは休日の旅行ガイドを買って出るなど、親切に接してきた。何回か会っているうちに彼らが韓国籍でないと感じたが、グループ交際だったので、特別な警戒心は持たなかった。接触が続くうち、会話の中に少しずつ平壌の話が出はじめた。
冬休みになると、彼らは週末にスキー旅行に行こうと提案してきた。宿泊施設をはじめ、すべての費用は自分たちが負担するという。ここ1年間の状況を振り返ってみたLは、ふと旅行の目的はスキーではないことに気づいた。彼女は青年たちとの接触を断ちたかったが、容易なことではなかった。恐ろしくなったLは、親戚の紹介で公安専門家に相談した。関係者は恐れずに学業を続けるよう勧めたが、彼女は結局、留学を放棄して帰国した。
以上の例は、日本に来る少なからぬ韓国の留学生が経験したことだ。留学生などを革命の戦士にするため朝総連はどのような態勢を整えているのだろうか。朝総連は日本全国に広く触手を伸ばしている。実は、この点だけでも朝総連を諜報・工作組織と断言できる。朝総連の働き手は自分の管轄・責任区域内に韓国人(獲得・包摂対象者)が入ってくるとすぐわかるように通報体制を構築している。これは基本的任務だ。
包摂対象者が見つかれば、観察・確認作業をする。訓練を受けた、経験のある働き手たちにはさほど難しいことでない。この過程はもちろん、組織に報告される。接近可能と判断されると、計画を立てて近づく。もちろん、このようなまねは普通の人はできない。訓練された、信念のある者がやることだ。
この革命組織の一員として活動するには、どれほどの訓練が必要だろうか。確かなことは、朝総連が日常的に遂行するこれらのことを民団は真似もできないということだ。まったく非生産的なこのような仕事に数千人(※学習組を基準に)の活動家が従事してきた。彼らはそのために数カ月から1年間の訓練(学習)を日本国内や平壌に行って何回も受ける。
この非生産的な組織をまともに維持・稼働するには莫大な資金がいる。組織が必要とする資金を負担するのが「愛国的商工人」の義務だ。
日本経済がいいときは、朝総連商工人も景気がよかったので、対南工作の働き手たちは金の心配はしなくてすんだ。1980年代に高級クラブに通っていた朝総連幹部たちは、みなが事業・対南工作を名分に店に出入りした。革命事業を口実に歓楽の世界を楽しんだのだ。
対南事業だけでなく、対日工作も同じだった。朝総連の組織と傘下団体、企業などは、日本社会全般を対象として組織された。朝鮮労働党は対日工作のため日本社会の全分野と接触し、掌握できるように組織を作った。日本社会の各界各層に労働党と主体思想支持勢力を扶植することを目的とした。
毎年、新年や首領の誕生日などになると、北韓と取引する貿易会社や団体をはじめ、日本の各界人士が平壌に祝電を送った。労働新聞や平壌放送などがこれを報道する。数十年間、平壌側と交わされた祝電を見るだけでも、対日工作の範囲と深さがわかる。このすべてを維持するのはお金だ。数多くの朝総連商工人が、この無意味で反文明的犯罪に資金を提供することで首領と労働党に搾取され、自分の事業の拡大再生産に投資すべき資金を費やした。(つづく)

2016-10-13 5面
 
朝総連衰亡史(15)
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