韓半島での南北の対峙が最終段階に入った。朴大統領は10月11日「対話で北核を放棄させることは不可能だ」と言った。一方、平壌側はいかなることがあっても核保有国の地位を放棄せず、核兵器体系の早期完成を誓っている。つまり、北韓が核を放棄しない限り、南北韓の共存、現状維持はもはや不可能になった。
韓半島分断71年間の対峙の本質は、韓民族の正統性と生のあり方をめぐって行う、相互妥協不可能な闘争、総体的権力闘争だ。まさに自由と独裁、善と悪、文明と野蛮の対決である。民団と朝総連の70年間の戦いも同じだ。今、この長い戦いに決着がつこうとしている。民団はこのような歴史認識を持っているのか。
韓国人は解放後、国民国家の建設のため国内外で熾烈に生きてきた。大韓民国は悪の勢力と戦いながら国家を建設した。民団も国作りに献身的に参加した。誰もがきついとき、自分(個人)よりも国を優先させた。民団は厳しい環境の下でも本国の事情を理解し、自由民主体制の最終的勝利を確信して本国に忠誠を尽くした。民団は本国と共に成長・発展してきた。
大韓民国は今、韓半島の現状変更を前に、すべての力量を動員せねばならない。強みを生かし、弱点を補完してこそ勝利できる。民団はどうなのか。韓半島のこの文明史的な流れを無視し、ただ、生活者団体に安住するのか。民団も文明史の発展に載りたいなら、歴史の主人公に、文明史の主流になりたいなら、目を大きく開き大局を見なければならない。そして勝利できるよう、自分を変えねばならない。
それでは、何をどう変えるべきか。簡単に言えば、民団70年の遺産のいい部分は継承し発展させ、遅れて間違った部分は直すことだ。多くの人々が民団の誇らしい遺産について知らない。よく、本国への経済的貢献を挙げるが、1人あたりの国民所得が数百ドルだった本国へ投資・支援して「圧縮成長」に寄与したのは、改めて強調するまでもない。だが、それよりもっと大きな貢献があったことを自負してもいいはずだ。
南北対決の場となった日本で、朝総連の圧倒的な攻勢から組織を守り抜いたことこそ民団最大の本国寄与だった。経済的貢献も重要だが、戦争で勝つこと以上に重要なことがあるだろうか。
民団組織が最初に直面した危機は、いわゆる「民主化勢力」を装った反国家勢力の民団浸透だった。後に「韓民統(韓統連)」として姿を現した、平壌の指令を受ける勢力が民団を乗っ取る直前に、民団は全国的に組織整備事業を通じて韓統連系列を排除し危機を脱した。当時、民団組織整備の主役たちが2006年の「河丙鈺事態」のときも決起して、左翼政権と対決して民団を救った。平素、学習も組織力も乏しい民団がプロの「革命家集団」である朝総連の工作から組織を守ったというのは本当に誇らしい歴史だ。
民団の乗っ取りに失敗した平壌側と朝総連などは、韓国情報機関が中心となった公館が民団社会に不当に介入したと誹謗中傷してきたが、これはただ共産側の執拗な洗脳と宣伝扇動に圧倒された結果だ。東西冷戦という総力戦で、情報機関をはじめ政府が渾然一体となって対処するのは当然のことだ。朝総連という巨大な謀略・工作組織と戦ったことが非難の対象になること自体がおかしな話なのである。東西冷戦の本質は嘘と真実の戦いだった。
朝鮮労働党の「在日党」である朝総連は北韓を「共和国」と呼ぶが、北韓は共和国ではなく封建王朝、全体主義独裁体制だ。北韓はスターリンが命名した「朝鮮民主主義人民共和国」という「国名」から人民も、民主主義も、共和国も消えた封建「朝鮮」に戻ったのだ。軍国主義日本の植民地時代よりも後退。朝総連は金日成とその子孫の「神政体制」に忠誠を尽くしている。
この偽りの宣伝と洗脳に今も騙され、圧倒されている同胞は多い。朝総連が勢力を拡大したのは、ソ連と中共と金日成のリーダーシップのためというよりは、戦後の日本社会の左傾化が決定的だった。日本社会の多くは朝総連の嘘の宣伝に寛大で、朝総連を応援した。在日同胞は日本社会のそういう風潮に影響を受けるしかなかった。朝総連の嘘には少なからぬ民団幹部も騙されている。
敵の嘘に騙されれば戦いで負ける。民団組織の弱点は敗北主義、諦め、嘘に騙されることなどだ。よく、朝総連は悪いが朝総連の民族教育は見習うべきだという話を聞く。これほどばかげた誤解・錯覚はない。朝総連のいわゆる「民族教育」の目的が何かを考えてみてほしい。こうした誤解は朝総連が「同胞の権益を守る団体」という宣伝に騙されたために生じる誤謬だ。「首領」を無条件決死擁護せねばならない朝総連が、首領を仰ぐことと矛盾する内容や精神を教えられるのか。母国語を学びたいといって平壌に留学するのも同然のことだ。(つづく) |