今月9日に5回目の核実験を行い、国際社会の制裁強化が必至となっている北韓が、さらなる挑発に向けた動きを見せている。6回目の核実験に加え、長距離弾道ミサイルの発射も近いうちに可能との見方が出ている。
北韓が過去5回の核実験を行ってきた豊渓里の核実験場では、今まで使われてきた2番坑道に加え、未使用の3番坑道の入り口にも幕が張られていることが衛星画像で確認されている。実験前には荷物の搬入などの動きを悟られないように、幕が張られる。5回目の実験時から幕はあったことから、韓国当局は「いつでも実験可能」と分析しているようだ。韓国では10月10日の労働党創党記念日前後に実験が行われる可能性が高いとみている。
もう一つ気になるのが、核実験と”セット”になっている長距離弾道ミサイルの発射実験だ。朝鮮中央通信は20日、「新型の静止衛星運搬ロケット用大出力エンジンの地上噴出試験に大成功した」と報じた。金正恩も視察する中で実験は行われ、予想どおりの成果を得られたようだ。
北韓はいつものように、「宇宙開発」であることを強調している。しかし、この宇宙開発は弾道ミサイルの基幹技術となり、周辺国に脅威しか与えていない。金正恩は、周辺国からの圧力があることにも触れ、党を信じて戦おうとも呼びかけた。「宇宙開発」には内部の結束を図る目的もある。
すでに9日の核実験を受け、国連は対北制裁の強化に向けて動いている。ホワイトハウスで国家安保会議軍縮・核不拡散を担当するジョン・ウルフスタール補佐官は21日、対北制裁強化について国連安保理で中国の協力を得られそうだとの認識を示した。米政府系ラジオ「ボイス・オブ・アメリカ」が伝えた。
今年3月に採択された制裁決議案は、実験から2カ月後という異例の遅さだった。今回も採択までの時間は見通しが立っていないが、米国は強力な内容にすることを優先しているとの立場だ。
中国当局は現在、制裁を逃れて北韓と貿易をしていた遼寧省の中堅企業グループ・鴻祥実業有限公司を捜査中といわれる。ウルフスタール補佐官は、こうした動きを歓迎している。 |