キューバは、いわゆる「北韓の兄弟国」である。対照的に韓国とは、1959年のキューバ革命以来、国交が断絶したままだ。革命を率いたフィデル・カストロは政権樹立翌年の1960年8月、北韓と国交を結び、カストロと金日成は兄弟のように近い関係を築いた。
韓国政府は3~4日(現地時間)、キューバのハバナで開かれる第7回カリブ諸国連合(ACS)首脳会議に、外交部の趙兌烈第2次官を政府代表として派遣した。ここまでは、事前に知らされていた内容だった。ところが電撃的に、外交部の尹炳世長官が合流することになった。尹長官は、朴槿惠大統領に随行し、アフリカ諸国とフランス歴訪に出ており、キューバ行きの予定はなかった。
北韓は5月末、軍内の強硬派とされる金英徹・労働党書記を金正恩の特使としてキューバに送り、金正恩の親書とプレゼントを渡した。金正恩はカストロ前国家評議会議長に誕生日の祝電まで送り「あたたかい祝賀と同志的挨拶をした」(3日、朝鮮中央通信)という。
韓国政府は、キューバとの国交回復を「中南米外交ネットワーク拡大の延長線」と明らかにしているが、キューバとの関係正常化に向けた強力な意思表示との分析が支配的だ。
韓国外相のキューバ訪問は今回が初めてとなる。尹長官は5日、ハバナ市でブルーノ・ロドリゲス外相と75分間会談した。尹長官は会談後「両国の関係正常化のため、以心伝心だと感じた」と述べた。今回の外交接触の背景には、今年、米国とキューバは長い敵対関係に終止符を打って国交を結んだことがある。韓国は、朴大統領のアフリカ歴訪外交で、北韓の同盟国(ウガンダ)を韓国支持に転じさせた。こうした事情を受け「キューバとの関係改善の接点を探しているのではないか」という見方もある。
韓国は2005年、ハバナにKOTRA(大韓貿易投資振興公社)の貿易館を開設するなど、経済を中心にキューバとの関係を築いてきた。最近では韓流ブームを受けてキューバのテレビで韓国ドラマやKポップが放送されるようになり、文化面での境界はなくなっている。
国際社会の全方位的な対北制裁により、北韓の友好国は少しずつではあるが減ってきている。現在、韓国と国交を結んでいない国は、キューバを含めて、シリア、マケドニア、コソボの4カ国にすぎない。(ソウル=李民晧) |