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2016年03月09日 09:30
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在日の英雄 義士 元心昌10
李奉昌、尹奉吉、李會榮…亡国民族の絶叫

ソウル・李民晧

1932年に燎原の火の如く起きた海外抗日闘争

 元心昌、柳基石、李容俊の3人が天津義挙を起こした1カ月前の1932年11月17日。無政府主義運動の巨頭である李會榮氏が獄死する事件が発生した。
李氏は日本関東軍司令官の武藤信義を暗殺する計画で上海を出発し、大連に向かっていた旅客船の中で日本の警察に逮捕された。海上で検挙された彼は、大連で取り調べを受け、旅順刑務所に移送された直後、拷問の後遺症で亡くなった。
満65歳。当時韓国人の平均寿命が40代だった時代だから、かなりの年寄りだった。それにもかかわらず、李氏は誰よりも熱く独立運動に邁進した愛国志士であった。
逮捕される時も中国東北抗日義勇軍司令官の張学良と交渉し、武藤を除去する目標を持っていた。惜しくも彼の決行計画は、同志として信じていた密告者2人によって事前に漏れて水の泡になった。
日本当局は、彼の死亡経緯を「大連警察署に検挙されて取り調べ中に自殺した」と記録した。独立運動家たちの中では、日本が明らかにした経緯を額面どおりに信じる人はいなかった。自ら首を絞めて亡くなったといわれるが、首まわりには傷跡はなく、きれいだったという。
当局は彼が裁判に回付されて証言の機会を持つことを極力避けたかった。自殺を口実にした故意殺人を行った確率が高い。有力な根拠は、彼が日本当局による亡国の過程を誰より詳細に知っている人物であったという点である。
李會榮一家は、韓日併合前の1907年秘密結社の独立運動団体である新民会を作り、同年日本の侵略と1905年大韓帝国の外交権を剥奪した不平等条約である乙巳条約の無効を主張するために李相咼、李儁などのオランダ・ハーグ密使派遣を主導した。
日本に併合された年の1910年12月、6兄弟をはじめ、すべての家族が満洲に亡命、大韓独立軍の軍官学校である新興武官学校を建てたのに続き、南華韓人青年連盟などで無政府主義抗日運動を主導する指導的人物として活躍した。
一方で李會榮氏が結局祖国独立を見ずに亡くなった1932年は独立運動史の中で海外抗日闘争が一番活発に展開された年である。
前述したように、その年の12月16日、元心昌氏など3人が天津義挙を実行し、李奉昌の東京桜田門義挙(1月8日)と尹奉吉の上海虹口公園義挙(4月29日)もまさにその年に起きた義挙であった。
特に1932年に抗日義挙が相次いで起きたことには明らかな背景があった。時は日本が自称満洲国を建設して、大陸侵略の拡大を公言した時と重なっているからだ。日本関東軍は1931年9月「満州事変」を起こして中国東北地方を占領したことを導火線に翌年3月1日満洲国成立を宣言した。したがって、この時期の韓人の抗日闘争は民族の独立とともに日本の大陸進出の野望を阻止しようとする民族心の発現であったと言うことができる。
日本では、植民地時代の韓人たちの武装闘争を犯罪行為やテロと断定しようとする認識がある。特に無政府主義者に対しては、社会混乱を助長する暴力主義者や共産主義者の亜流として見ていた。
韓国でさえ、彼らは独立運動を行ったにもかかわらず、 評価は無情であった。無政府主義系は、日本の植民地時代から非主流、少数派という限界を抱えていた。解放後、南韓では民族主義系が国家を建て、北韓では共産主義系が権力を握ったことも、無政府主義者を粗末にした一原因であった。
しかし1932年の義挙を見れば、思想や路線の区分は、意味を付けくわえる必要がないことがわかる。李奉昌、尹奉吉は金九臨時政府主席が主導する民族主義系であり、李會榮、元心昌などは無政府主義系であった。共に実行方法は武装闘争であった。国権を失って海外で漂泊する亡国民が独立を争取するために、対内外的に民族の独立意志を表現することができる最善の選択肢は、日本軍警に向けた爆弾投擲しかなかったといえる。   (つづく)

2016-03-09 4面
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