金正恩の誕生日を前に、北韓が水爆実験に踏み切った。朝鮮中央テレビは6日、「特別重大放送」の中で水爆実験が成功裏に実施されたと報じた。過去3度にわたる核実験などで制裁まで受けてきた北だが、その反対の声に逆行する形で実験に踏み切った。国連安保理は緊急会合を開き、新たな対北制裁案作成に着手した。韓米では、爆発の規模から推定して、水爆ではないという懐疑的な見方もある。一方、水爆かどうかとは別に、起爆装置の技術向上や核爆弾の小型化は相当進んでいるとの分析もある。
地下核実験施設がある豊渓里で観測された爆発規模は、マグニチュード4後半から5前半だった。以前行われた核実験も同規模であったことなどを根拠に、実験は水爆実験ではないとの見方も出ている。
水爆かどうかの結論は出ていないが、問題は核弾頭の小型化だと韓国の専門家は指摘する。北は「水爆実験成功」を、金正恩の業績であると大々的に宣伝している。
専門家によると、豊渓里実験場は大規模爆発に適していない。北には豊渓里以外に核実験施設はなく、大規模な核実験はもともとできないとの指摘だ。「未臨界実験や小規模爆発の実験を行える水準まで技術が進展した可能性を排除すべきではない」と専門家は警鐘を鳴らす。
北の核ミサイル配備という悪夢に直面した朴槿惠政権は、米国との対応策を模索している。韓国はまず、昨年夏に中断した対北心理放送を再開。休戦線から北に向け、拡声器放送を行っている。自衛のための核武装も、与党系議員から上がった。韓国は金正恩体制を倒すか独自の抑止力を持つかの選択を迫られているといえる。
米国は核弾頭を搭載可能なB52戦略爆撃機を韓国上空に展開。北韓はこうした韓米の動きに反発しており、韓米は警戒を高めている。日本は首相や官房長官が非難のコメントを出し、国連での制裁を主導しようとしている。
問題は中国だ。中国は核実験の事前通知を受けていなかったといわれ、今回も北にメンツをつぶされた形になっている。それでも今のところ北に厳しい対応を取る動きはない。
韓国は朴大統領や国防長官がホットラインで連絡を取ろうとしたが、中国側は応じなかったという。朴政権は同盟国が懸念を表明する中でも対中関係を重視してきた。「その見返りがこれか」と、韓国の朝野で怒りの声が上がっている。
国連、新たな精製準備へ 韓国は対北放送を再開
国連安全保障理事会は6日、追加の対北経済制裁を行うための作業に着手した。安保理は制裁を強化する構えだが、実効性を持たせられるかが課題だ。
安保理は今まで、4回にわたって制裁決議を採択してきた。そのいずれも北の核開発を完全に止めることはできなかった。今回は中国が「断固反対」の姿勢を見せており、結果が注目される。
韓国は8日、38度線での対北拡声器放送を再開した。放送の内容は北の権力中枢への批判などで、昨年8月の「木箱地雷」事件で韓国が放送を再開(その後中断)した際には大きな反発が起きた。韓国軍は不測の事態に備え、警戒態勢を強化している。 |