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2015年09月02日 08:41 |
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たった一つでも、変えれば生きられる
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2月16日は故・金正日の誕生日だ。北韓は金正日の死から3年以上経っても亡者の誕生日を記念し、大規模な行事を進めている。住民はすでに山ほどの心配を抱えている。中央報告大会、中央写真展覧会、革命戦跡地踏査行軍、忠誠の手紙リレー、各種スポーツ競技大会などの行事が、故・金日成の誕生日である4月15日まで2カ月ほど続くからだ。
一体どのような国なら、このようなことが可能なのか? 北韓を規定する3つの体勢を理解すれば「奇妙な国」で行われている荒唐無稽なできごとがある程度理解できるだろう。
北韓は封建王朝体制である。金日成が建国し、3代にわたって世襲が行われてきた。王氏高麗や李氏朝鮮のように、いわば金氏北韓である。封建王朝体制の現代版が、今日の北韓なのだ。
今も君主制を採用している国はある。しかし、このような国でさえ、王は象徴的な存在であるか、権力が憲法で制限されている立憲君主制を採用している。しかし、北韓は金氏王朝が立法、司法、行政権をすべて掌握して住民の上に君臨する絶対君主体制だ。北韓は金氏北韓を建国した最初の王と、王朝体制を盤石にしようとした2代目の王の誕生日を記念するために、さまざまなイベントを行っているのである。
北韓は神政体制だ。宗教的秩序と世俗秩序が分化されておらず、世俗的秩序が宗教的秩序に服属して動く体制だ。エジプトの太陽神体制、中世のキリスト教体制、イスラム原理主義体制などが代表的な事例だ。支配者は神、あるいは神の代理人でなければならない。ファラオ、法王、カリファなどはすべて神の代理人だ。
北韓は金日成一族を神と同列にした。「父なる神」のように、「父なる首領金日成」や「父なる将軍金正日」と神格化している。北韓は憲法で、北韓の民族を「金日成民族」と規定することにより、金日成を民族の創始者のように規定した。イエスの誕生を記念する日がクリスマスであり、仏陀の誕生日を記念する日を仏誕節と呼ぶように、金日成が生まれた日は太陽節、金正日が生まれた日は光明星節という。キリスト教徒やイスラム教徒が巡礼をするように、北韓住民も金日成の生家である万景台や、金正日の生家になった白頭山密営を巡礼する。
神の言葉には間違いがない。それは金日成一族にも適用される。法律よりも憲法が、憲法よりも党規約が、そして党規約よりも金日成一族の「お言葉」が上位にあるということが、それを証明している。党・軍・政の幹部らが熱心にその「お言葉」をメモするのも、その言葉がすべての規範体系の中で最高の力を持っているからだ。
北韓は独裁体制だ。一個人または特定の集団に権力を集中させて支配するのを独裁体制とするならば、北韓は金日成一族による独裁体制とすべきだ。独裁体制を維持するには管制のためのイデオロギーが必要であり、この管制イデオロギーを支持および拡散できる政党が存在し、かつ体制の宣伝と反体制を取り締まるために、マスコミを独占しなければならない。反体制派を罰する暴力的警察制度も必要だ。
北韓は歪んだ共産主義イデオロギーと、その実行主体である労働党があり、労働党は北韓住民の言論・出版・集会・結社の自由はもちろん、身体・転居・職業選択・住居・良心・宗教の自由まで奪い取っている。北韓住民はさまざまな監視組織のせいで、体制が許容する狭き門さえ出入りすることができない。相互監視が働く体制の中で、腹を空かせた住民は忠誠競争に明け暮れ、ようやく独裁者の誕生日に菓子1袋を贈られる程度だ。
北韓は封建体制、神政体制、独裁体制を有する三位一体体制だ。人類は文明の進化の過程で封建制に変わる制度を導入し、神政体制には政教分離で答え、独裁体制を変化させてきた。北韓が一日も早くこの奇妙な三位一体体制の1つでも変えれば、体制崩壊を避けられるだろう。
(金烈洙・誠信女子大国際政治学教授)
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