先週、4府県の警察が、外為法違反の疑いと関連して、朝総連の許宗萬議長と南昇祐副議長の自宅などを家宅捜査した。北韓の国会議員にあたる「最高人民会議代議員」でもある。当事者たちと朝総連側は政治的弾圧だと反発したが、不法不当な措置だったら、正式に法的対応策を講じればいい。 許宗萬は金氏王朝への忠誠心に加えて、「資金作り」の能力が買われて平壌によって朝総連議長にまで起用されたといわれてきた。朝総連は今まで数えきれないほどの不法活動を行い、その宣伝と主張にどれほどの嘘と捏造があったのか、多くの人が知るところとなっている。今回も世論の反応は、朝総連の抗議に冷淡だ。 朝総連が社会から不信を買ったのは、自らの行いによるものだ。つまり因果応報である。 朝総連は、自らを「主体の産児」と規定し、「総連は朝鮮労働党と共和国政府の指導思想である主体思想と祖国統一方案の内容と正当性、社会主義祖国の建設の姿、そして在日同胞の愛国運動を世界の人民たちに広く紹介し宣伝する活動を弛みなく展開している」と自慢してきた。 朝総連組織は、あたかも「金氏王朝」に仕える奴隷のような存在にすぎない。朝総連は日本当局に対して「権利問題と関連した8項目の要求」を突きつけるなど、権利拡大闘争を展開してきた。彼らが勝ち取った権利と財産は、日本社会においてのものだ。 朝総連が祖国と呼ぶ「共和国」においては、例外的に厚遇を受ける一部の特権層を除いて、在日は最下層民に属する。北に「帰還」した身内が行方不明になり、政治犯収容所に入れられても、抗議どころか泣き寝入りするしかない。 朝総連が進んで独裁体制の”走狗”になったのは、おそらく間違った民族教育による洗脳が主因だろう。だが、それは平壌が強いた思想学習だけが理由ではなかった。朝総連をここまで増長させた責任の半分は、日本社会、特に日本の「進歩的な知的風土」にあるといわざるをえない。 朝総連が平壌の指令に従って謀略宣伝を展開したとき、日本のメディアはそれをそのまま紹介した。「米帝の庇護を受ける悪名高い空輸特戦団が、無辜の光州市民を大量殺戮した」という、常識的に考えればありえない謀略を広めたのは日本社会だった。 この朝総連と連帯したのが、日本社会で著名だった学者、文化人、記者、社会活動家などだった。朝総連と連帯してきた日本社会の組織・団体を見てみよう。 金日成主席労作研究会、主体思想研究会、朝鮮の自主的平和統一支持日本委員会、日朝友好国民会議、日朝文化交流協会、朝鮮女性と連帯する日本婦人連絡会、日朝関係の改善を要求する会、日朝友好促進委員聯盟、在日朝鮮人の人権を守る会、朝鮮人強制連行調査団、朝鮮問題懇話会、日朝協会、総評、日教組、日朝国交正常化をめざす全国交流会など、枚挙にいとまがない。朝総連はこの500あまりの階層別連帯組織や友好親善組織を自慢してきた。 朝総連や平壌と連帯したのは、「市民レベル」の組合だけでなかった。日本社会党の議員を筆頭に、自民党でも多くの政治家が、平壌との緊密な紐帯を自分の政治的資産としてきた。宇都宮徳間、久野忠治、土井たか子、田辺誠金丸信などが有名だ。 今も、不透明な部分は多い。例えば、日韓議連の額賀会長は、日朝国交正常化推進議員連盟の指導部にも名前を連ねている。(続く) |