朴仁輝(梨花女子大国際学部教授)
最近、大韓民国の「統一大当たり」論が国際社会の話題になると同時に説得力を持つようになった。韓半島統一にかかわる米国、中国、ロシアなど周辺国の利益が、具体的に何なのかについて考え、議論することが俄然多くなった。現在は韓半島の統一が周辺国の利益を侵害するよりも、むしろ相互利益になるとの見方が優勢な状況になっている。
まず米国の場合、韓国にとって唯一の同盟パートナーであり、韓国は米国が締結している数十の同盟条約締結国の一つだ。しかし韓米の同盟関係は、全世界に類例を見ない模範的な互恵的外交関係という点は否定できない。こうした特殊な韓米関係が、将来的に韓半島統一という新局面に入ると、その利益は大きく三つに要約される。
まず、韓半島の統一は北韓の核問題の解決と米国のグローバルリーダーシップを示す代表的なリトマス紙になる。オバマ政権の核なき世界への強いこだわりと、違法な核取引を根絶しようとする国際社会の意志が、核安全保障サミットを発足させた。したがって、唯一違法な核開発国である北韓問題の解決は、米国のグローバルリーダーシップにとって重要な条件でないはずがない。
第二に、統一韓国が志向する民主主義的価値、市場経済の尊重、社会文化的多元性、人権中心の世界観などが、戦略的要衝地の一つである韓半島の安定的管理を実現させる。
最後に、米国のさまざまなグローバルアジェンダを解決していく段階で、統一韓国は強固な同盟パートナーとして、重要な援軍になるという点だ。
中国にとって韓半島の統一は、南北に住んでいる当事者の住民を除き、ほかの誰よりも大きな利益をもたらすだろう。統一韓半島の経済圏は中国の成長と相乗効果をなし、二国に無限の利益を創出することができる。大半の経済学者は統一韓国の経済的潜在力が非常に大きいというが、中国の経済的な利益を侵害するより、「ウィン・ウィン効果」(互いに利益を得ること)をもたらすと予測される。特に中国、日本、統一韓国にまたがる「アジアの世界3大経済圏」は、互いが持つ経済構造の長所と短所を補完しながら、名実ともに世界経済の中心に浮上するだろう。
第二に、韓半島の統一は、逸脱行為を日常的に行う面倒な北韓という障害を除去し、北東アジアに端を発する中国の安全保障問題を一挙に解決する妙策になる。
ロシアでは2期目の執権に成功したプーチン大統領が「新極東戦略2025」を打ち出し、極東地方の経済的潜在力をロシアの主要な未来の成長動力にしつつ、韓半島を含む北東アジアの政治にも細心の注意を払いながら戦略的スタンスをとっている。このロシアの新しい国の方向の設定は、韓国の朴槿惠政権が推進している韓半島信頼プロセスとユーラシア・イニシアチブとぴったり合致する部分がある。
韓半島信頼プロセスは、北韓から意味のある変化を誘導するための継続的な努力を通じて信頼を形成することを意味する。韓国政府が強調している重要な課題の一つであり、韓国、北韓、ロシアを経済的に接続させる、いわゆる「南北露三角協力」は、南北だけでなくロシアの国家利益が交わる。まさに「ウィン・ウィンゲーム」だ。
また、統一された韓半島が打ち出す「平和国家」としてのイメージは、ロシアの視点から見た場合、過去の北韓の二重外交とは対照的に、北東アジアはもはや戦略的なウィークポイントにはならないと判断する材料になるだろう。
このように韓半島統一は、韓国が現在唯一の分断状況から脱し、統一韓国というグローバル国家に飛躍できる近道であり、締約国と国際社会が相互に共存する最高の贈り物になるだろう。国際社会が韓半島統一について深い関心を持ち、支持と協力を寄せてくれることを期待する。