韓米両国政府は、2015年12月に解体予定だった韓米連合司令部の存続を正式に決定した。連合司のソウル残留も決まった。韓国の安保状況を考えれば当然の決定だ。
だが韓国内には、連合司の解体と韓米同盟の解消を追求する勢力が依然存在する。米国でも連合司の存続を不満に思う声が少なくなかったという。
今回の決定を、韓国の安保と韓米同盟の強化につなげるために必要な措置と覚悟は何か。
まず指摘すべきは、政府が今回も連合司の解体延期を「戦時作戦統制権転換延期」と発表したことだ。このような発表では、同盟の本質とビジョンは包み隠される。
韓米連合司令部が設置されたのは、韓国が侵略されたとき、米国が直ちに自動参戦をする保証が韓米防衛条約になかったためだ。北韓の奇襲に対処するため、韓国にもNATO(北大西洋条約機構)のような体制が必要だったからだ。
歴代大統領の中で近代化と自主国防に心血を注ぎ、その基礎を作ったのが朴正熙・元大統領だ。その朴大統領が1978年、暗殺される1年前に作ったのが連合司だ。連合司の設置は、韓国兵がベトナムで米兵と一緒に戦ったため実現した。
「南北連邦制」を追求した盧武鉉政権は、韓米同盟を解体するため、同盟の核心装置だった連合司令部の解体を目論んだ。李明博政権はこの安保破壊を完全に正常化しなかった。親中的な朴槿惠大統領も、安保環境の悪化に積極対応していない。
国防部は、憲法が付与している国家安保の最終的な砦としての使命を忘却し、予算確保の目途も立っていない戦力増強計画に基づき、機械的に連合司の解体を進めてきた。実際に機能するか検証できていないキル・チェーンという愚かな「専修防御」戦略に国の運命をかけようとしている。だが、北の核ミサイル搭載の潜水艦配備により、それは無用の長物になる。
韓国の究極的ビジョンは何
か? 北韓を解放し、自由民主主義を拡大することだ。このビジョンと価値観を共有できる国は、現時点では米国だけだ。
韓米同盟が重要なら、韓国は同盟相手の要望にもっと誠意をもって応じねばならない。
同盟とは戦争を共にするのが基本だ。一方的に保護を受ける関係は同盟ではない。韓国は、ベトナム戦争と冷戦を米国と一緒に戦ったが、米国がテロとの戦争を開始した後は、イラク戦にもアフガニスタン戦にも戦闘部隊を送っていない。
韓国は、同盟としての義務を果たすための被害を怖れている。米国は韓国を救うため莫大な犠牲を払ったのに、韓国は少しの犠牲にも怯えている。
韓国は直ちに、IS(イスラム国)との戦いに、空軍兵力を送るべきだ。韓国はすでにインド洋の海賊対策に駆逐艦を送っている。海賊から船舶を守る作戦に駆逐艦を送りながら、ISの掃討作戦に参加しないのは論理的にもおかしい。
いま国際社会は、北韓の人権問題解決のため、国連を中心に団結している。韓国がこの問題で国際社会の支援を受けながら、ISの横暴を座視するなら、韓国は厚顔な国、卑怯な国民となる。国連が金正恩体制への圧迫を強化しようとしている今、互いに反目している韓国と日本だけが金正恩体制の持続を図っているような現状は、もはや喜劇というしかない。
被害を恐れて同盟のために戦わなければ、われわれが攻撃されたとき同盟は戦ってくれるだろうか。
韓国はオイルショック以来、中東紛争に慎重だった。だが、今回は状況が違う。ISは、地域的には中東になるが、多くの中東諸国がIS掃討作戦に参加している。韓国も戦闘部隊を直ちに派遣せよ。現代的空軍作戦を経験する機会にもなる。
IS派兵は連合司の解体を延期した米国への最低限の義理でもある。しかも、日本や中国では試みることもできないことだ。韓国の決断は際立つはずだ。左顧右眄するな。厚顔無恥な國、卑怯な国民として歴史に記録されていいのか。自由と安保はタダではない。韓国は同盟としての義務を果たすべきだ。 |