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2014年03月26日 00:00
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対北肥料支援に政府が「待った」 制裁中に人道支援はありえるか 
ジレンマに陥る「韓半島信頼プロセス」

小規模な民間支援は今も続いている(12日、仁川港)
 韓国の民間団体が北韓への肥料支援を進めていることに対し、政府が事実上の「待った」をかけた。北韓への制裁が続く中、信頼と原則を重視する朴槿惠政権の基本方針に反するためとみられる。
 南北統一問題などに取り組む韓国最大の民間団体、民族和解協力汎国民協議会(民和協)は今月13日から、北韓に肥料100万袋(2万トン)を支援するための募金を展開。一定額が集まった段階で政府に承認を求めるとしていた。同団体の代表常任議長を務める洪思徳氏は朴槿惠大統領の側近とされ、政府の意向が反映されていると受け止められていた。
 だが、主務官庁である統一部の柳吉在長官はこの動きを受け、「(今は支援する)タイミングではない」と否定的な考えを明らかにした。韓国は2010年3月に発生した海軍哨戒艦「天安」爆沈事件を受け、同年5月から対北支援を中断している。現時点では肥料などの支援を再開することも難しいとの認識を、政府が示したものと受け止められる。事実上、政府による「待った」だ。
 民和協の洪思徳代表常任議長は柳長官の発言後「青瓦台や政府関係者らと肥料支援計画に関する意見交換はしてこなかった」とした上で、今後政府と調整を進める考えを示した。同発言を受け、政界では「朴大統領の側近とはいえ、南北情勢を考慮していない事業推進」と批判する声が上がった。
 朝鮮戦争による離散家族の再会行事以降、韓国は口蹄疫の拡散防止支援や人道的支援に向けた赤十字実務者協議などを提案したが、北韓はこれにまったく応じずにいる。政府がこうした人道的支援拡大に悩む中、民間団体が先頭に立ち、支援活動を進めるのは逆に政府にとっては負担として作用した可能性がある。
 野党や進歩派の市民団体は南北関係について「一定の前進はあったが、依然成果はない」と評価しているが、朴政権が国民から最も多い支持を受けているのは外交・安保・統一分野だ。調査会社の韓国ギャラップが2月に実施した「大統領の職務遂行評価」で、朴大統領の北韓政策は外交・安保政策とともに、最も高く評価された。
 統一部は朴政権1年の対北政策の成果として、「信頼と原則に基づいた南北対話で開城工業団地や離散家族再会問題など主要懸案を解決し、持続可能な南北関係発展の土台をつくった」と評価している。対話や人道支援を通じて南北間の信頼関係を築き、非核化を促すことを柱とする朴政権の対北韓政策「韓半島信頼プロセス」に、多くの国民が理解を示していると解釈できる。
 ただ、今年に入って南北高官接触や離散家族の再会行事を実現させるなど、一定の進展はあったものの、具体的な成果を示せずにいるのも確かだ。
 ソウル大統一平和研究院の張容碩上級研究員は「韓半島信頼プロセスの実体に対する疑問はある。政府が原則だけにこだわるのではなく、より積極的に南北関係を進展させようと努力すべき」と助言する。北韓政権の大きな姿勢変化がみられない中、朴政権はどうやって南北関係の具体的な成果を出していくのか。今後、朴政権の力量が試されることになる。
(ソウル=高正基)

2014-03-26 3面
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