国家情報院が最近、2007年10月2日から4日にかけて行われた盧武鉉と金正日の会談対話録の全文を公開した。建国65年の大韓民国で確認された、国家に対する大統領の“反逆行為"をどう処理するかという課題が、国民に突き付けられている。
大統領は国軍の最高司令官だ。この最高司令官が交戦相手の首長に屈従的な姿勢をとった。いかなる説明でも正当化できない恥辱であり、国家への反逆だ。人類史上に国家元首による反逆行為がなかったわけではないが、金正日の前で示した盧武鉉の言動は、その中で最も致命的かつ許せない行為だ。
盧武鉉の奇行は生前からよく知られている。最近では07年の会談でNLL(黄海上の北方限界線)を放棄する旨の発言があったと大々的に報じられた。しかし今はそのようなことよりも、憲法の守護者として、国軍の最高司令官として、大統領の職分を忘却したことが問題だ。彼が一般人だとしてもありえない、大韓民国の憲法体系、憲法価値を正面から否定した反逆そのものである。
盧武鉉の言動を庇護している勢力は、はたして対話録の全文を読んでいるのか。徹底した「従北」でないかぎり、全文を読んでも盧武鉉の肩を持つ者は、理念や思想を論じる前に、彼らの人格や教養のレベルを疑わざるをえない。
秘密(対話録)を公開した国家情報院が「2級」秘密として管理してきた記録を、盧武鉉大統領サイドが30年間も封印しようとしたこと自体が自分たちの「反乱」を隠すためのものだった。すでに盧武鉉は自殺してしまったため盧武鉉を、「敵国と協力し大韓民国の抗敵となった者は死刑に処する」と定めた与敵罪で断罪はできない。しかし共謀者、そして今盧武鉉の肩を持つ勢力は、その共犯者、庇護勢力として断罪せざるをえない。
今われわれは、大韓民国の法治と教育の総体的な崩壊の現実を目撃している。世界的に見て大学進学率が最も高い韓国が、善と悪、正義と不義、遵法と違法をほとんど区別できないということがわれわれを一層恥ずかしくさせる。
建国から65年間、韓国社会は、共和制の大統領の帝王的権力を警戒することを至高の価値として絶対視するあまり、「観念的な民主化」のスローガンが、顕在的反逆を追及できなくするという奇怪な構造を生み出した。
ソウル五輪後の大韓民国は、敵に内通した反国家勢力を「民主化勢力」と容認し、政界は民衆民主主義に迎合して票を得るため、金日成の思想を信奉する「主体思想派」までを政界に迎え入れた。そして反逆罪を犯した者にまで赦免と復権で免罪符を与え、繰り返し反逆の機会を与えてきた大統領の赦免権の濫用で、彼らの反逆行為を増長させてきた。
法治国家における「反逆」とは、憲法を破壊する理念と政治路線を憲法の上に置く行為だ。今大韓民国では、反逆精神に満ちた「6・15宣言」と「10・4宣言」が憲法と法治を踏みにじっている。このような社会で法治と国民統合を成し遂げ、北韓を解放し、自由民主主義統一を成し遂げられるだろうか。
振り返ってみると、我々は今も続いている6・25戦争勃発時、金日成の奇襲を成功させるために全軍の警戒態勢を決定的に崩壊させた当事者も突き止めていない。盧武鉉の反逆行為を知りながら放置した李明博・前大統領も、大統領の責務を放棄したといえる。李明博と前国家情報院長は、いったい何が怖くてこの巨大な反逆行為をかばっていたのか。
歴史には輝かしい栄光の部分も、陰や屈辱の部分もある。歴史の陰と屈辱を克服することが発展であり、輝く歴史といえる。自由民主主義建国革命の道を走ってきた建国65年の大韓民国は、国民的自覚を通じて共和制65年の最大の危機ともいえるこの危機を突破しなければならない。
朴槿惠大統領は先頭に立ってこの危機を克服し、統一へ進まなければならない。大統領による反逆と決別する決定的な契機を作った南在俊・現国家情報院長の決断を高く評価する。 |