韓国と国際社会に向けての北側の示威、挑戦が治まらない。平壌側の口汚い罵倒や脅迫の度合いは日を追うごとに激しさを増し、朴槿恵大統領の屈辱的な対話提議すら拒否した。平壌側の目的は何か。韓半島でこういう不毛な危機、対決を最終的に終わらせるためにはどういう覚悟が必要なのか。
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米太平洋軍のサミュエル・ロックリア司令官は9日(現地時間)、上院公聴会に出席し、金正恩の行動について「予測不可能」と述べた。先代・先々代の指導者については、瀬戸際外交の“出口"が見えていたが、今回はそれが見えないと指摘。「出口(戦略)を見いだしているのかも明確でない」と付け加えた。
昨年10月にはジェームズ・サーマン在韓米軍司令官が「(金正恩は)父よりはるかに攻撃的で予想不可能な人物」とワシントンで述べている。米軍の太平洋地域のトップと在韓米軍のトップがそろって金正恩を「予測不可能」と評しているのだ。 |
1月22日の国連安保理 |
専門家らの指摘や予想を証明するかのように、平壌は今年に入ってからは韓米同盟だけでなく、国連まで敵に回す極端な暴走を始めた。3月11日には6・25戦争(韓国戦争)の停戦協定を破棄すると宣言した。こういう挑発は、一見北の体制保障と核保有国認定を米国に要求するのが主な動機に見えるが、本質的には世襲独裁を支えていた外部からの支援が止まったことによる“禁断症状"である。
北韓では金正日の死後、張成澤ら摂政が金正恩を支える体制になった。要するに、根本的に不安定な暫定的体制といえる。そのため権力が定着していく過程、あるいはそれが失敗する過程は避けられない。特に、誰が軍を掌握するのか、それとも軍が権力を掌握するかの対立は不可避である。
ところが、北の行為が根本的に政治闘争であることを勘案すれば、今回の極端な挑発は韓国社会が招いた側面を指摘せざるをえない。
まず、平壌は今が「朴槿惠政権を手なずける」絶好のタイミングと捉えたようだ。
朴大統領は1日に行われた国防部・国家報勲処の業務報告で、「韓国の国民と大韓民国に対して(北の)挑発があれば、ほかの政治的な考慮を一切せず、直ちに強力に対応するべき」と述べた。しかし朴大統領の外交・安保ラインはほぼ金大中・盧武鉉の路線に同調的な人物で占められ、大統領自身も現実離れした「韓半島信頼プロセス」を強調している。
もっとも、北と連動する従北勢力が国会まで左右しているのが実情だ。平壌が朴大統領を手なずけられると確信するのも無理はない。
米国に対しても同様だ。北は彼らが韓米同盟に対して先に全面攻撃を加えることが自らの破滅につながることを知っている。同時に、彼らが先に全面戦を仕掛けない限り、米国が絶対に北を全面攻撃しないこともよく知っている。
つまり北は、韓米を相手にした今回のチキンレースで必ず勝てると確信しているのだ。だから北は、韓米が譲歩するまで、全面戦に拡大しない程度の挑発を続けるしかない。
朴大統領は11日、「韓半島信頼プロセス」の第一歩として、柳吉在統一部長官に開城工業団地について「正常化の対話」を指示したと述べた。
朴大統領の対北宥和ジェスチャーと連動して、ケリー米国務長官が動いている。米国は今度もまず、中国に協調を頼んだ。中国は、北の非核化と中国が神経を尖らせている東アジアに展開されているミサイル防衛網の縮小を連動させた模様だ。米国の関心は、やはり米中の戦略関係であり、韓半島情勢よりも優先されるのだ。
北核問題は当事者であり最大の被害者である韓国が主導的に対応し解決するしかない。ところが、「国民幸福と福祉」を第一とする朴政権は、国家安保に対する国民の憂慮と衆望をまったく無視している。
北の3回目の核実験後に実施された世論調査で韓国国民の3分の2は、独自の抑止力確保次元で核開発を支持した。セヌリ党の鄭夢準議員は9日、米国で韓国に迫った危機と国民的衆望を代弁し、正当防衛的NPT脱退を認めるよう訴えた。これこそ政治家の本分だ。米国は無責任な弥縫(取り繕い)策で韓国の運命を危うくしてはならない。
サイバーテロと局地挑発、核ミサイル示威で世界の関心を引くのに躍起な暴圧体制を倒すか、それとも取りあえず韓国の自衛的核武装を認めるか、国際社会は選択すべきだ。 |