11日の韓国総選挙は、当初の予想に反して与党セヌリ党が善戦した。152議席を獲得して過半数をかろうじて超えた。セヌリ党の朴槿惠・非常対策委員長の指導力が発揮された形になった。与野党とも過半数を超えることは難しいと、ほとんどの人が予想していただけに、意外な結果になった▼これで韓国の政局も一段落といいたいところだが、実はなかなかそうはいかなさそうだ。懸念されることの第一は、北韓の労働党とまったく同じ「統合進歩党」が13議席も獲得したことだ。同党は韓国の正統性を否定しているばかりか、北韓が韓半島で唯一の合法政権であると強弁している政党だ。北韓の核・ミサイル保持も積極的に支持し、「北」の人権や脱北者の救済も眼中にない。北韓労働党の忠実な僕にすぎないと指摘されるほどだ▼とはいえセヌリ党も寄せ集め的な集団で、韓国本来の正統性と憲法に則った自由民主主義体制を守る強じんな勢力ではない。しかも過半数こそかろうじて確保したものの、いざというときに国会決議が思うとおりにいくとは思えない▼ではなぜこのような状態に韓国社会はなってしまったのだろうか。それは李明博政権の「中道実用主義」を名分とした国家政策に根本的な原因があるといえる。金大中・盧武鉉政権という過去の親北・従北政権の政策を根本的に見直す努力を放棄したからだ。今の韓国社会の情勢は、一言で言って内乱状態にある▼間違った対北政策を抜本的に見直すという作業をセヌリ党が行わないかぎり、国民の信頼を勝ち取ることはできないだろう。 |